Twitterがドメインを第三者に取得された事件!イーロン・マスク買収前の裏話

Twitterで2009年に起きた事件を掘り起こします。

事件の概要

2008年4月23日にTwitterは、日本語版サービスを開始。翌年2009年11月25日、Twitter社に全く関係ない第三者がtwitter.co.jpを取得した。

ドメインを取得した第三者は、Twitter社に、2万ユーロ(約260万円)で譲渡する話を持ちかける。追加で自分のTwitterアカウントをTwitterのおすすめユーザーリストに加えることを要求してきた。

Twitter社は、ドメイン名紛争処理方針(DRP)に基づく裁定の申し立てをして、この問題の解決を図った。2010年1月28日に申し立て、3月31日に審査が終了した。

審査の結果、twitter.co.jpドメインをTwitter社に移転するように裁定が下された。実際には10日間の保留期間後にtwitter.co.jpドメインは移転された。

第三者に取得された理由

日本法人の登記

日本でサービス開始時点でTwitter社は、日本法人の設立が未完了。
.co.jpというドメインは、日本の企業が使用することを前提としたドメイン名であり、取得するためには、日本での法人登記が必要。これはインターネット上でのビジネスや情報の信憑性を確保するためにある条件になる。

条件が必要なその他のドメイン

  • .gov
    アメリカ政府の機関が使用することができる。つまり、公式な政府機関であることが条件となる。
  • .edu
    主にアメリカの高等教育機関が使用できる。認定を受けた教育機関であることが条件。
  • .eu
    このドメインは、ヨーロッパ連合(EU)のメンバー国内にある組織や個人が使用することができる。
  • .mil
    このドメイン名はアメリカの軍事組織が使用できる。つまり、公式な軍事組織であることが条件。
  • .bank
    金融機関向けのドメインで、取得には適切な許認可とセキュリティ基準の遵守が必要。
これらはあくまで一部の例で、世界各地で利用される多種多様なドメイン名があり、それぞれが独自の取得条件を持っている。

Twitter社は日本法人設立前だったので、仕方がないですね。

問題解決

統一ドメイン名紛争処理方針(UDRP)

twitter.co.jpドメインの問題を解決したのは、統一ドメイン名紛争処理方針(UDRP)。UDRPは、Uniform Domain Name Dispute Resolution Policyの略。

統一ドメイン名紛争処理方針(UDRP)は、インターネット上のドメイン名に関する紛争を解決するための、国際的な仲裁ルール。

UDRPは、ドメイン名の使用が他人の商標権を侵害している場合、その商標権者がドメイン名の使用を停止するか、あるいは自身のものにするための手続きを行えるルールを提供している。

例えば商標を持っている企業の、商標と同じまたは非常に類似したドメイン名を第三者が使用し、それが企業のビジネスに影響を及ぼしていると感じた場合、UDRPを利用して紛争解決手続きを行うことができる。

具体的な手続きは、証拠の提出や専門的な判断を必要だが、このルールがあるおかげで、インターネット上の商標権の侵害に対して迅速に対処することが可能となっている。

問題解決の要因

  •  「Twitter」商標とtwitter.co.jpドメイン名の類似性
    「twitter」は、日本でTwitter社が登録した商標「TWITTER」で、そのままドメイン名になっている。つまり、twitter.co.jpのドメイン名は、Twitter社の登録商標と直接関連がある。

  •  不正なドメイン名取得
    Twitter社とは無関係の人物がtwitter.co.jpというドメイン名を取得した。さらに、その人物はTwitter社の商標「TWITTER」の使用許可を得ていないにもかかわらず、このドメイン名を使用していた。

  •  ドメイン名の販売試みと不適切な要求
    ドメイン名を取得した人物は、その取得から約1ヶ月後にTwitter社に対し、twitter.co.jpのドメイン名を2万ユーロ(約260万円)で売りたいと提案した。これはドメイン名の取得が「主に貸し出しや移転を目的としていた」ことを示す。さらに、その人物は自身のTwitterアカウントをTwitterのおすすめユーザーリストに加えることを要求していた。

以上3つの条件を満たしていたので、twitter.co.jpドメインはTwitter社に移転された。

お金とTwitterのおすすめユーザーリストの要求は悪質です。

統一ドメイン名紛争処理方針(UDRP)の制約と注意点

UDRPは有効なルールだけど、一部の状況に限られる。それに、全ての要件を証明するのは申立人の責任。通常、このプロセスは専門家、例えば弁護士に依頼することが多く、結果としてコストが上がることが多い。

また、UDRPは特定の「ドメイン名の不正な登録や使用」に対応するためのもの。
以下の例のような場合だけ使える

  • ドメイン名を実費以上の金額で転売する目的で登録したとき
  • 商標権者のドメイン名使用を妨害する目的で登録し、その妨害行為が何度も行われているとき
  • 競争相手の事業を混乱させる目的で登録したとき
  • ユーザーの混乱を誘うために他人の商標をドメイン名として登録・使用したとき

最終的には、UDRPに頼らなくても済むように、自社の商標に関連するドメイン名は予め登録しておくべきでしょう。それがあとでの面倒事や余計な出費を避ける最善策です。

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