ヒューリスティック法とは?経験則で素早く意思決定する思考法

企画・プロジェクト管理
ヒューリスティック法とは?ざっくりと3行で
  • 最適解を求めるのではなく経験則・直感・簡略化したルールを使って素早く「十分に良い解」を導き出す意思決定・問題解決の思考法のこと
  • 人間の認知資源(時間・情報・計算力)には限界があるため完全な情報処理ではなくヒューリスティックで効率よく意思決定することが日常的に行われており認知バイアスの原因にもなる
  • UI/UXデザインの分野ではヤコブ・ニールセンが提唱した「ニールセンの10ヒューリスティクス」がユーザビリティ評価の標準的なフレームワークとして広く使われている

【深掘り】これだけ知ってればOK!

心理学でのヒューリスティックの代表例:利用可能性ヒューリスティック(思い出しやすい出来事ほど頻繁に起きると判断する)・代表性ヒューリスティック(特定のカテゴリの典型例に似ているとそのカテゴリと判断する)・アンカリング(最初に提示された数字に判断が引っ張られる)。

UIデザインのヒューリスティック評価は少数(3〜5名)の専門家評価者がニールセンの10ヒューリスティクスに照らしてUIの問題を発見する手法だ。ユーザーテストより短時間・低コストで多くのユーザビリティ問題を発見できるためユーザーテストと組み合わせて使われる。

ニールセンの10ヒューリスティクスの主要項目:①システム状態の可視性②現実との一致③ユーザーコントロールと自由④一貫性と標準⑤エラーの防止⑥認識よりも想起⑦柔軟性と効率⑧審美的でシンプルなデザイン⑨エラーからの回復⑩ヘルプとドキュメント

ヒューリスティック評価では各評価者が独立して評価した後で結果を統合する方法が推奨される。3〜5名の評価者で全ユーザビリティ問題の75〜90%を発見できるとニールセンは主張している。各問題には深刻度スコア(0〜4)を付けて優先度を整理することが実践的なアプローチだ。

アルゴリズムの分野でもヒューリスティック法は重要だ。巡回セールスマン問題(全都市を一度ずつ訪問する最短経路)は組み合わせ爆発で厳密な最適解を求めるのが困難だが、ヒューリスティックアルゴリズム(最近傍法・遺伝的アルゴリズム)を使うと実用的な時間で十分に良い解を得られる。

よくある誤解

ヒューリスティックは全て思い込みで間違いだと思っている

ヒューリスティックは最適解ではないが多くの場合に十分に良い答えを素早く出す有効な思考法だ。認知バイアスはヒューリスティックが特定の状況で誤った方向に機能するケースであり、ヒューリスティック自体が悪いわけではない。

UIのヒューリスティック評価はユーザーテストの代わりになると思っている

ヒューリスティック評価は専門家による評価でユーザーテストとは異なる。専門家が気づかないユーザー固有の問題はユーザーテストでしか発見できないため両者を補完的に使うことが推奨される。

会話での使われ方

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このUIのヒューリスティック評価をやってみたら、エラーメッセージが分かりにくいという問題がニールセンの第9原則(エラーの回復支援)に違反していることが分かりました。

UXデザイナーがヒューリスティック評価でUIの問題を発見して改善点を説明している場面。

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採用の面接官が候補者のスーツ姿を見て優秀と判断するのは代表性ヒューリスティックが働いている典型例です。構造化面接で対策が必要です。

人事担当者が採用選考における認知バイアスをヒューリスティックの概念で説明している場面。

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在庫管理の最適化でヒューリスティック法を使っています。厳密な最適解より短時間で実用的な発注量を計算できるので実務では十分です。

オペレーションエンジニアが複雑な最適化問題にヒューリスティック法を使う理由を説明している場面。

【まとめ】3つのポイント

  • 最適解ではなく経験則で素早く十分に良い解を出す思考法:完全な情報処理が不可能な現実の意思決定でヒューリスティックは不可欠なメカニズムだが認知バイアスの源泉でもあるため両面を理解することが重要だ
  • UIデザインではニールセンの10ヒューリスティクスが標準的な評価フレームワーク:少数の専門家評価者がニールセンの10原則に照らしてUIを評価するヒューリスティック評価は低コストで多くのユーザビリティ問題を発見できる実用的な手法だ
  • 認知バイアスはヒューリスティックが誤作動したケースと理解する:利用可能性・代表性・アンカリングなどのヒューリスティックが特定の状況で誤った判断を引き起こすのが認知バイアスで意思決定プロセスの構造化がバイアス軽減に有効だ

よくある質問

Q
ニールセンの10ヒューリスティクスとは何ですか?
A

ヤコブ・ニールセンが提唱したUIユーザビリティの10の評価原則です。システム状態の可視性・現実との一致・ユーザーコントロールと自由・一貫性と標準・エラーの防止など10項目から構成されます。

Q
ヒューリスティック評価は何名で行うのが適切ですか?
A

3〜5名が推奨されます。1名では約35%しか発見できませんが5名以上になっても発見率の増加は小さくコスト効率が下がります。

Q
認知バイアスとヒューリスティックはどう関係していますか?
A

ヒューリスティックは素早く意思決定するための経験則です。認知バイアスはそのヒューリスティックが特定の状況で系統的に誤った判断を引き起こす現象です。

Q
ヒューリスティック法とブルートフォース法はどう違いますか?
A

ブルートフォース法は全ての可能な解を試して最適解を確実に見つける方法です。ヒューリスティック法は最適解の保証はないものの計算コストを大幅に削減し実用的な時間で十分に良い解を見つけます。

【出典】参考URL

https://www.nngroup.com/articles/ten-usability-heuristics/ :ニールセンの10ヒューリスティクス(NN/g公式)
https://www.nngroup.com/articles/how-to-conduct-a-heuristic-evaluation/ :NN/gによるヒューリスティック評価の実施方法

:Wikipedia「ヒューリスティクス」

コメント

「IT用語、難しすぎて心が折れそう……」という方のための、ハードル低めな用語辞典です。

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