SANとは?大規模システムを支える高速ストレージネットワークを解説

システム開発・テクノロジー
SANとは?ざっくりと3行で
  • Storage Area Networkの略(読み:サン)。サーバーとストレージを専用の高速ネットワークで接続するアーキテクチャで、大規模企業のデータセンターで使われる技術だ
  • NASがファイルレベルのアクセスを提供するのに対し、SANはブロックレベルのアクセスを提供するため、データベースや高速I/Oが必要なシステムに適している
  • ファイバーチャネル(FC)やiSCSIという専用プロトコルで動作し、通常のLANとは分離された専用ネットワーク上を流れる。金融・通信・大規模ECなど高トランザクションが必要なシステムで採用される

【深掘り】これだけ知ってればOK!

SANをNASと対比して覚えると整理しやすい。NASは「共有の本棚」で複数人がアクセスするファイルを整理して保管する。SANは「配達専用の高速道路」でサーバーとストレージの間だけをつなぐ専用ネットワークだ。目的と仕組みが根本的に異なる。

SANが必要になる場面を考えると理解が深まる。大規模なデータベースサーバーがある場合、DBの読み書きは毎秒数千〜数万回という高頻度で発生する。通常のLANを使うNASでは帯域幅と遅延が問題になることがある。SANはファイバーチャネルで最大32Gbps以上の高速・低遅延接続を専用ネットワーク上で実現するため、こうした高I/O要件に対応できる。

SANには主に2つの実装方式がある。ファイバーチャネルSAN(FC-SAN)は光ファイバーを使う最高性能の方式で、金融・通信などミッションクリティカルな環境で採用される。iSCSI SANは既存のEthernet(通常のLAN)上でSCSIプロトコルを動かす方式で、FC-SANより導入コストが低くエンタープライズから中規模企業まで幅広く使われる。

SANの管理にはゾーニングという概念がある。SANファブリック(SANのネットワーク)内で、どのサーバーがどのストレージにアクセスできるかをゾーン単位で制御する仕組みだ。設定ミスがあると意図しないサーバーが重要なデータにアクセスできてしまうため、SANの設計・管理には専門的な知識が必要だ。

クラウド時代のSANの位置づけも変わりつつある。大企業はオンプレミスのSANを維持しながら、新しいワークロードはクラウドのブロックストレージ(AWS EBS・Azure Managed Disk)に移行するハイブリッド構成が増えている。クラウドのブロックストレージはSANと同様のブロックレベルアクセスを提供するが、物理的なファブリック管理が不要になる点で運用が大幅に簡素化されている。

よくある誤解

SANはNASより高性能というのは単純化しすぎ

SANとNASは性能の優劣ではなく用途が異なる技術だ。ファイル共有用途にはNASが適しており、SANを使っても過剰スペックでコストが無駄になる。DBのブロックI/OにはSANが適切だ。

iSCSI SANは通常のNASより大幅に高価というわけではない

FC-SANは専用機器が必要で高価だが、iSCSI SANは既存のEthernet機器を流用できるため、NASより高性能なストレージを比較的低コストで実現できる場合がある。

会話での使われ方

ITKAGYO運営者のアイコン画像

本番DBのストレージはSANを使ってます。iSCSIで既存の10GbEスイッチに乗せてます。FC入れるほどではないですが、NASじゃ帯域が足りないので。

データベース基盤の設計レビューでインフラエンジニアがストレージ選定の背景を説明している場面。

ITKAGYO運営者のアイコン画像

SANとNAS、何が違うかよくわからないんですけど、業務で使うファイル共有はNASでよくて、DBサーバーのストレージはSANが向いてるって理解で合ってますか?

新入エンジニアが先輩に確認している場面。基本的な理解として正確な認識だ。

ITKAGYO運営者のアイコン画像

オンプレのFC-SANをEBS移行する案件です。ゾーニング設定の複雑さからは解放されますが、コストシミュレーションが先ですね。

クラウド移行プロジェクトのキックオフでSIerのエンジニアがスコープを説明している場面。

【まとめ】3つのポイント

  • 「DBに高速・低遅延でつながる専用ストレージネットワーク」:SANはサーバーとストレージを専用の高速ネットワークでブロックレベルで接続し、大規模DBや高I/O要件のシステムを支える技術だ
  • NASと用途が異なる。ファイル共有はNAS・高速DBストレージはSAN:SANとNASは優劣ではなく用途の違い。両方が必要な環境では共存させる構成が一般的だ
  • クラウド移行でブロックストレージへの置き換えが加速中:AWS EBSなどクラウドのブロックストレージはSANと同様の機能を物理インフラ管理なしに提供し、SANの新規採用は減少傾向にある

よくある質問

Q
SANはどんな企業・用途に向いていますか?
A

大規模なデータベースサーバー・基幹業務システム・仮想化環境(VMwareなど)・大容量の映像制作用ストレージが主な用途です。金融・通信・医療・大規模ECなど高トランザクション・高可用性が求められる環境での採用が多いです。

Q
SANとNASを同時に使うことはできますか?
A

できます。多くのエンタープライズ環境で、ファイル共有はNAS・データベースストレージはSANという形で共存しています。ストレージベンダーの製品の多くはSAN/NAS両対応のユニファイドストレージとして提供されています。

Q
クラウドに移行するとSANは不要になりますか?
A

多くの場合、クラウドのブロックストレージ(AWS EBS・Azure Managed Disk)がSANの役割を担います。物理的なSANファブリックの管理が不要になるため、新規システムではクラウドブロックストレージを選ぶケースが増えています。ただし既存のオンプレ環境では引き続き使われています。

Q
SANとNASの違いは何ですか?
A

SANはサーバーとストレージを専用ネットワークでブロックレベルで接続する技術です。NASはネットワーク上でファイルレベルのアクセスを提供するストレージ装置です。アクセスの粒度(ブロックかファイルか)と使用ネットワーク(専用ファイバーかLANか)が主な違いです。

【出典】参考URL

https://e-words.jp/w/SLA.html :ストレージ関連技術の概説
https://www.idcf.jp/words/sla/ :データセンター・ストレージ技術

コメント

「IT用語、難しすぎて心が折れそう……」という方のための、ハードル低めな用語辞典です。

情報レベルは「基礎中の基礎」。会話を止めないためのエッセンスだけを抽出しています。分かりやすさを追求するあまり、時々例え話が暴走しているかもしれませんが、そこは「ほどよく」聞き流していただけると幸いです。
ほどよくIT用語辞典システム開発・テクノロジー
デプロイ太郎のSNSを見てみる!!
タイトルとURLをコピーしました