セキュリティアプライアンスとは?UTMと役割を解説

システム開発・テクノロジー
セキュリティアプライアンスとは?ざっくりと3行で
  • ファイアウォール・ウイルス対策・VPNなど複数のセキュリティ機能を1台の専用機器に詰め込んだハードウェアのこと。社内ネットワークの入口に設置して使う
  • 個々のセキュリティ製品を別々に導入する手間をなくし、1台で一元管理できる点が最大の強み。中小企業の情報システム担当者が少ない組織でも運用しやすい
  • クラウド型のセキュリティサービスが台頭しているが、機密性の高い社内ネットワークの制御を自社設備で完結させたい場合、今もアプライアンス型が選ばれ続けている

【深掘り】これだけ知ってればOK!

セキュリティアプライアンスの代表格であるUTM(Unified Threat Management)が登場したのは2000年代初頭。それ以前は、ファイアウォール・アンチウイルス・IDS/IPSをそれぞれ別のベンダーから別の機器として導入するのが当たり前で、設定・管理の複雑さが情報システム担当者を苦しめていた。UTMはそのすべてを1台にまとめるという、シンプルだが画期的な発想から生まれた製品カテゴリだ。

セキュリティアプライアンスを理解するには「境界防御」という考え方が鍵になる。社内ネットワークと外部のインターネットの境界に番人を置き、出入りするデータをすべて検査するイメージだ。物理的な建物に例えるなら、1人の警備員がX線手荷物検査・顔認証・危険物探知をまとめて担当するゲートに近い。各種チェックを通過したものだけが社内に入れる仕組みで、サイバー攻撃の大多数をこの段階で遮断できる。

主な搭載機能を整理すると、ファイアウォール(不正な通信を遮断)・IPS/IDS(侵入を検知・防御)・アンチウイルス(マルウェアの検出)・Webフィルタリング(有害サイトへのアクセス制限)・VPN(安全なリモート接続)が標準的に含まれる。製品によってはアプリケーション制御やスパムフィルターも加わる。

アプライアンス型の弱点は拠点が分散すると管理コストが増える点だ。本社・工場・支社など複数拠点を持つ企業では、拠点ごとに機器を設置・保守する必要があり、担当者の負担と維持費が比例して増加する。このため近年はクラウド型UTM(SASE)との使い分けや移行が進んでいる。どちらが最適かは、拠点数・リモートワーク比率・セキュリティポリシーの3点を軸に判断するとよい。

クラウド移行が進む現代でも、製造業・医療機関・金融機関など機密情報を扱う現場では、ネットワーク制御を自社設備で完結させる要件が残る。また、インターネット接続を経由しないオンプレミス内部の通信を守るには物理的に社内に置かれたアプライアンスが依然として有効だ。クラウドで全て解決できると思い込まず、自社の通信経路と保護対象を整理したうえで選定することが重要になる。

よくある誤解

アプライアンスを入れればセキュリティ対策は完了、ではない

セキュリティアプライアンスは外部からの脅威を防ぐ境界防御に特化している。しかし内部の従業員による誤操作・不正持ち出しや、すでに社内に潜入したマルウェアの横展開には対応できないケースが多い。境界防御とエンドポイント対策(PCへのウイルス対策ソフト導入)・社員教育を組み合わせる多層防御の発想が不可欠だ。

UTMとセキュリティアプライアンスは同じではない

UTMはセキュリティアプライアンスの一種だが、セキュリティアプライアンス全体はより広い概念だ。ファイアウォール専用機・WAF(Webアプリケーションファイアウォール)専用機・メールセキュリティアプライアンスなども、それぞれ特定機能に特化した「セキュリティアプライアンス」に分類される。UTMは複合機、専用機は単機能特化型と理解すると整理しやすい。

高価な製品なら安全とは限らない

アプライアンスを導入しても、設定を誤れば効果は半減する。特に問題になるのがデフォルト設定のまま運用するケースで、不要なポートが開いたまま、あるいはポリシーが緩すぎる状態で稼働させてしまうケースが現場では後を絶たない。導入コストだけでなく、初期設定・定期的なポリシー見直し・ファームウェアアップデートまで含めた運用設計が、セキュリティアプライアンスの真の効果を引き出す条件だ。

会話での使われ方

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現状、ファイアウォールとアンチウイルスを別々のベンダーで管理していて正直しんどいです。UTMタイプのアプライアンスに統合してもいいですか。

情報システム担当者が上長へのセキュリティ環境見直し提案を行っている場面。複数製品の管理負担を1台に集約するのはUTMアプライアンス導入の典型的な動機だ。

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拠点が10カ所に増えたんで、アプライアンス型だと保守が大変になりそうで。SASE移行も選択肢に入れましょうか。

IT部門長と外部ベンダーのコンサルタントが、セキュリティ構成の見直しを議論している商談の場面。拠点数の増加はクラウド型への移行を検討するきっかけになりやすい。

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セキュリティアプライアンスってファイアウォールと何が違うんですか?

社内のセキュリティ勉強会で、入社2年目の総務担当者が講師のインフラエンジニアに質問した場面。ファイアウォールはアプライアンスの機能の一部であるという関係性を整理する際によく出る疑問だ。

【まとめ】3つのポイント

  • 「ネットワークの入口に立つ複合警備機」:セキュリティアプライアンスは複数のセキュリティ機能を1台の専用機器に統合し、社内ネットワークと外部の境界を守るハードウェアだ
  • 1台の一元管理で情シス担当者の負担を大幅削減できる:UTMに代表されるアプライアンスは、ベンダー分散・設定複雑化という従来の課題をシンプルに解消してくれる
  • 設定・運用まで含めて初めて効果が出る:導入して終わりではなく、ポリシー設計・定期更新・拠点構成の変化への対応が継続的に必要。購入費用と同等以上に運用コストを見積もっておくことが重要だ

よくある質問

Q
セキュリティアプライアンスは中小企業でも必要ですか?
A

はい、むしろ専任のセキュリティ担当者を置けない中小企業こそ、1台で複数機能を管理できるアプライアンスが有効です。サイバー攻撃は企業規模を問わず発生しており、特に取引先の大企業への踏み台として中小企業が狙われるケースが増えています。初期費用は数十万円からの製品が多く、ベンダーのサポートサービスを含めた導入がおすすめです。

Q
セキュリティアプライアンスの主要メーカーはどこですか?
A

グローバルではPalo Alto Networks・Fortinet・Check Point・Cisco Systemsが代表的なベンダーです。国内では富士通・NEC・ヤマハなども法人向け製品を展開しています。中小企業向けに機能を絞ったコスパ重視の製品も多く、Fortinetのシリーズは国内中小企業での導入実績が豊富です。

Q
テレワーク導入後もセキュリティアプライアンスは必要ですか?
A

テレワーク比率が高まると、境界防御だけでは社外から社内への接続経路が増えてカバーしきれない部分が出てきます。VPN機能付きのアプライアンスで安全な接続経路を確保しつつ、エンドポイント対策(PCのセキュリティ)も並行して強化する組み合わせが現在の標準的な対策です。クラウド型のSASEへの移行も選択肢の一つとして検討に値します。

Q
セキュリティアプライアンスとUTMの違いは何ですか?
A

包含関係で言えば、UTMはセキュリティアプライアンスの中の一種類です。セキュリティアプライアンスにはファイアウォール専用機やWAF専用機なども含まれますが、UTMは複数のセキュリティ機能を統合した多機能タイプを指します。現在の市場では多機能統合型が主流なため、実務上はほぼ同義で使われるケースも多くなっています。

この用語と一緒に知っておきたい用語

用語この記事との関連
ファイアウォール本記事のテーマと実務上セットで使われることが多い用語です。インターネットと社内ネットワークの境界に立ち、怪しい通信を入口でシャットアウトする門番だ
ネットワークネットワークは関連分野でよく登場する重要キーワードです。複数のコンピュータや機器を結び、互いにデータをやり取りできるようにした網、それがネットワークだ
アンチウイルスアンチウイルスは関連分野でよく登場する重要キーワードです。ウイルスをはじめとするマルウェア(悪意あるソフトウェア)を検知・駆除してコンピュータを保護するソフトウェアのこと
SASESASEを押さえると本記事の理解がさらに深まります。Secure Access Service Edgeの略(読み:サシー)。SD-WANなどのネットワーク機能とCASB・ZTNA・FWaaSなどのセキュリティ機能をクラウドで統合提供するアーキテクチャだ
アイコンアイコンを押さえると本記事の理解がさらに深まります。アプリやファイル、操作ボタンなどをひと目でわかる小さな絵で表したもの、それがアイコンだ

【出典】参考URL

https://it-trend.jp/utm/article/corporate-security_first-step_utm-appliance :UTMアプライアンスの機能・メリット解説(ITトレンド)
https://biz.techvan.co.jp/tech-is/blog/security/002705.html :UTMアプライアンス型とクラウド型の比較(情シスBlog)
https://cybersecurity-jp.com/column/77 :UTMのアプライアンス型・クラウド型の違い(cybersecurity.com)
https://cloud.nttsmc.com/sns/useful/contents/utm501_whats-utm.html :UTMの機能と必要性(NTTスマートコネクト)

コメント

「IT用語、難しすぎて心が折れそう……」という方のための、ハードル低めな用語辞典です。

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