- 発注者(クライアント)から直接プロジェクトを受注してプロジェクト全体のQCD管理責任を負いながら実際の作業の全部または一部を下請けに委託する主契約者のこと
- 日本のSIer業界では元請け→下請け→孫請けという多層的な外注構造(重層下請け構造)が一般的で元請けはクライアントへの窓口・プロジェクト全体の責任者・下請けの管理という3つの役割を同時に担う
- 元請けと下請けの関係は建設業を起源とする概念で日本のSIer・建設・製造業界に根強く存在する。働き方改革やデジタル化の推進で多重下請け構造の是正が課題となっている
【深掘り】これだけ知ってればOK!
元請けと下請けの収益構造:元請けはクライアントから受注した金額と下請けに外注する金額の差額(マージン)で収益を得る。クライアントからの受注単価が高くても下請けへの外注比率が高いと元請けの利益率は下がる。また下請けから見ると、元請けを経由するため自社の技術力に対して適正な報酬が支払われないという「マージンの搾取」問題も指摘されている。
多重下請け構造の問題点:情報の劣化(発注者→元請け→下請け→孫請けと仕様が伝わるたびにニュアンスが劣化して要件のズレが生じやすい)・単価の低下(中間マージンが重なって末端の開発者の単価が低くなる)・品質責任の不明確化(多層化するほど品質問題発生時の責任の所在が不明確になる)。
DX推進による元請けモデルの変化:大企業が内製化を進めてSIerへの外注を減らす動きが進んでいる。これにより元請けSIerは「言われたものを作る受託開発」から「ビジネス課題の解決を提案するパートナー」への転換が求められている。コンサルティングファーム(アクセンチュア・デロイト)がSIer領域に参入してきていることも元請けモデルの変化を促している。
よくある誤解
元請けは下請けに全部やらせてお金だけ受け取ればよいと思っている
元請けはクライアントへの最終品質責任を負っている。下請けへの丸投げは品質問題・スケジュール遅延・クライアントからの信頼失墜につながる。下請けを適切に管理・支援しながらプロジェクト全体をコントロールすることが元請けの本質的な役割だ。
元請け会社は技術力がなくても大丈夫だと思っている
発注者の技術リテラシーが向上している現代では技術的な深度のない提案は競争力を持てない。また下請けの成果物を適切にレビュー・評価するためには元請け側にも相応の技術力が必要だ。
会話での使われ方

このプロジェクト、元請けとして全体のスケジュールと品質管理を担当します。下請け4社への発注仕様と成果物のレビュー基準を整備しましょう。
プロジェクトマネージャーが元請けとしての責任範囲を明確にして下請け管理体制を整えている場面。




孫請けに入っているエンジニアが仕様変更の情報を受け取れていません。多重下請け構造で情報が劣化しています。元請けとして全レイヤーへの情報共有フローを作ってください。
元請けのPMが多重下請け構造での情報劣化問題に対応している場面。




今回のプロジェクト、元請けとして受注しましたが実際の開発は全て下請けに依頼する予定です。でも品質責任は元請けである我々にあるのでレビュー体制はしっかり作りましょう。
SIerのプロジェクトマネージャーが元請けの最終品質責任の重要性を説明している場面。
【まとめ】3つのポイント
- 発注者からプロジェクトを直接受注してQCD全体の責任を負う主契約者:クライアントへの窓口・プロジェクト全体管理・下請け管理・最終品質責任という4つの役割を同時に担う元請けの本質は「下請けを活用しながら全体の品質とスケジュールに責任を持つこと」だ
- 多重下請け構造は情報劣化・単価低下・品質責任の不明確化という問題を生む:発注者→元請け→下請け→孫請けという多層化するほど仕様の伝達精度が落ちて末端の単価が下がり品質問題の責任所在が不明確になるという日本のSIer業界の構造的課題だ
- 現代の元請けには技術力と営業力・提案力の両方が競争力として求められる:発注者の技術リテラシーが向上している現代では技術的な深度のある提案と下請けの成果物を適切にレビューできる技術力が元請けSIerの競争力の核心になっている
よくある質問
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Q元請けと下請けはどう違いますか?
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A
元請けは発注者(クライアント)と直接契約して全体のプロジェクト責任を負います。下請けは元請けから仕事を受注して実際の作業を担当します。
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Q孫請けとは何ですか?
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A
下請けがさらに外注する先を孫請けと言います。末端ほど単価が低くなる傾向があります。
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Q準委任契約と請負契約はどう違いますか?
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A
請負契約は成果物の完成を約束する契約です。準委任契約は一定の業務の遂行を約束する契約です。IT業界では開発期間中の作業は準委任・最終的な成果物の納品は請負というケースが多いです。
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Qフリーランスエンジニアは元請けになれますか?
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A
技術的には可能ですが、直接クライアントから大型案件を受注して下請けを管理するプロジェクト管理力と信頼関係の構築が必要です。
【出典】参考URL
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/outsourcing_center/index.html :経済産業省の受託ソフトウェア開発適正化指針
https://www.ipa.go.jp/archive/files/000051684.pdf :IPAの多重下請け構造に関する調査報告書




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