- 「いたるところに存在する」という意味のラテン語が語源で、コンピュータや情報システムがいつでも・どこでも・誰でも意識せずに利用できる状態のこと
- マーク・ワイザーが1988年に「Ubiquitous Computing(ユビキタスコンピューティング)」として提唱した概念で「人間がコンピュータを意識せずに生活の中に自然に溶け込んでいる状態」を目指す考え方だ
- スマートフォン・スマートスピーカー・スマートホーム・ウェアラブルデバイスなどIoTの普及によってユビキタスコンピューティングの概念が現実のものになりつつある
【深掘り】これだけ知ってればOK!
ユビキタスとIoT・スマートシティの関係を理解しよう。IoT(Internet of Things)はユビキタスコンピューティングを実現するための技術基盤だ。家電・センサー・車・インフラにコンピュータ(マイコン)とネットワーク機能を組み込むことで「いたるところにコンピュータが存在する」ユビキタス環境を作る。スマートシティは都市インフラ(交通・電力・医療)にIoTを組み込んでユビキタスな都市サービスを実現する取り組みだ。
ドメイン駆動設計(DDD)における「ユビキタス言語」を理解しよう。DDDの文脈では「Ubiquitous Language(ユビキタス言語)」という重要な概念がある。ドメインエキスパートとエンジニアが共通の言語(用語・概念)でコミュニケーションすることで、ビジネスの意図が正確にコードに反映されるという設計思想だ。「注文・顧客・商品」という言葉をビジネス側とエンジニア側が同じ定義で使うことがユビキタス言語の実践だ。
日本では2000年代に「ユビキタスネット日本」という国家戦略が策定されてユビキタス社会の実現が目指された。その後IoT・5G・AIの技術的な進歩によってユビキタスコンピューティングは理想から現実へと近づいている。特に2020年代の5G普及によって超高速・低遅延の無線通信が実現してユビキタスな接続環境が加速している。
よくある誤解
ユビキタスはどこでもインターネットが使える環境のことだと思っている
ユビキタスコンピューティングは単に「インターネットがどこでも使える」だけでなく、「コンピュータが生活に透明に溶け込んで人間が意識せずに利用できる状態」という広い概念だ。どこでもインターネット接続はユビキタス実現のための必要条件の一つに過ぎない。
DDDのユビキタス言語と情報技術のユビキタスは同じ概念だと思っている
同じ「ユビキタス」という言葉だが文脈が異なる。DDDのユビキタス言語は「ドメインエキスパートとエンジニアが共有する共通言語」を指す。情報技術のユビキタスは「コンピュータがいたるところに存在する状態」を指す。
会話での使われ方

このIoTプロジェクト、センサーと制御システムがシームレスに連携することでユビキタスな工場環境を実現できます。工場作業員がコンピュータを意識せずに最適な情報を受け取れるようになります。
IoTエンジニアがユビキタスコンピューティングの概念を使って工場DXの価値を説明している場面。




DDDのユビキタス言語を設定しましょう。営業が「見積もり」と言い、エンジニアが「Quotation」と言っていると話が噛み合わない。「見積もり(Estimate)」という共通用語を決めてコードにも同じ言葉を使いましょう。
ドメイン設計者がDDDのユビキタス言語の重要性を説明している場面。




スマートスピーカーを家中に置いてユビキタスな音声インターフェースを実現しましたが、常時マイクがオンなのでプライバシーが少し心配ですね。
スマートホームを構築したユーザーがユビキタス環境とプライバシーのトレードオフを感じている場面。
【まとめ】3つのポイント
- コンピュータがいつでもどこでも意識せずに使える「透明な存在」になった状態:マーク・ワイザーが提唱したユビキタスコンピューティングの概念はIoT・スマートシティ・ウェアラブルの普及によって現実になりつつあり人間の生活に深く溶け込んだコンピューティング環境を指す
- DDDのユビキタス言語はエンジニアとドメインエキスパートが共有する共通言語:ドメイン駆動設計において「ユビキタス言語」はビジネス側とエンジニア側が同じ定義・用語でコミュニケーションすることでビジネスの意図が正確にコードに反映される重要な実践だ
- ユビキタス環境とプライバシーのトレードオフが現代の重要課題:コンピュータがいたるところに存在することは常時モニタリング・データ収集の可能性を意味するためユビキタスな便利さとプライバシーの保護のバランスを設計に組み込むことが重要だ
よくある質問
-
QユビキタスコンピューティングとIoTはどう違いますか?
-
A
IoTはデバイスをインターネットに接続する技術の総称です。ユビキタスコンピューティングはIoTを含むより広い概念で「コンピュータが生活に透明に溶け込んだ状態」を目指す考え方です。IoTはユビキタスを実現するための手段の一つです。
-
QDDDのユビキタス言語とはどういうものですか?
-
A
ドメイン駆動設計(DDD)で、ビジネスエキスパートとエンジニアが同じ意味で使う共通の用語・概念の集合です。コードの変数名・クラス名にもビジネス用語をそのまま使うことで設計とビジネスの意図が一致します。
-
Qユビキタスとオムニチャネルはどう違いますか?
-
A
オムニチャネルは複数の販売チャネルをシームレスに統合する概念です。ユビキタスはより広くコンピュータがあらゆる場所に存在してサービスが提供される状態を指します。
-
Qユビキタスコンピューティングの課題は何ですか?
-
A
プライバシーの侵害(常時データ収集)・セキュリティリスク(多数のデバイスへの攻撃面の拡大)・デジタルデバイド(技術的リテラシーが低い人がアクセスできない)などが主な課題です。
【出典】参考URL
https://www.ipa.go.jp/sp/iot_review.html :IPAのIoT活用推進ページ(ユビキタス環境の基盤)
https://martinfowler.com/bliki/UbiquitousLanguage.html :Martin FowlerのUbiquitous Languageの解説
https://e-words.jp/w/%E3%83%A6%E3%83%93%E3%82%AD%E3%82%BF%E3%82%B9.html :IT用語辞典「ユビキタス」


コメント