- システム監査技術者試験とは、監査対象から独立した客観的な立場で情報システムを検証・評価し、その適切性を保証・助言する力を証明する国家試験だ。
- IPA高度試験の中でもガバナンスと保証を扱う唯一の区分で、監査法人・内部監査部門・ITコンサルの現場で一目置かれる立ち位置になる。
- 取れば、システムを作る側から評価する側へ視点が変わり、内部監査やリスクマネジメントの上流ポジションを任されやすくなると覚えておけばいい。
システム監査の現場では、指摘の正しさ以上に独立性と客観性が説得力を左右します。1コマ目の担当者が抱えていた不安は、監査意見を裏付ける体系立った根拠と、それを論理的に伝える力の不足でした。作る側の知識だけでは、経営層に対して情報システムのガバナンスやコントロールが適切だと保証するには足りないのです。
この試験の学習は、リスクベースで監査計画を立て、証拠を集め、結論を導くという監査の思考プロセスそのものをなぞる作業だと言えるでしょう。だからこそ論述式の答案練習が効いてきます。合格は単なる肩書きではなく、監査報告の利用者に信頼されるための実務言語を身につけた証になります。指摘して終わりではなく、改善の助言まで踏み込める人材が、内部監査やコンサルの現場で長く重宝されるでしょう。
システム監査技術者試験の試験概要
システム監査技術者試験は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施する情報処理技術者試験のうち、最難関にあたる高度試験区分(スキルレベル4)の一つです。高度試験13区分の中で、監査という独立・客観の視点を専門に扱う唯一のポジションに位置づけられます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | システム監査技術者試験(AU) |
| 実施団体 | 独立行政法人情報処理推進機構(IPA) |
| 試験区分 | 高度試験(スキルレベル4) |
| 試験時間・形式 | 科目A-1(50分・四肢択一30問)、科目A-2(40分・四肢択一25問)、科目B-1(90分・記述式)、科目B-2(120分・論述式) |
| 合格基準 | 科目A-1・A-2・B-1は各100点満点で60点以上、科目B-2は評価ランクAが合格(2026年7月時点。CBT移行に伴う詳細は公式で確認) |
| 受験料 | 7,500円(消費税込み・2026年7月時点) |
| 受験資格 | なし(誰でも受験可能) |
| 有効期限・更新 | 合格に有効期限はなく、更新も不要(生涯有効の国家試験) |
| 公式ページ | IPA公式サイト |
受験料や合格基準の数値はいずれもIPA公式ページで確認したものですが、CBT移行に伴う細部は2026年夏頃に公表されるシラバス案・サンプル問題で確定します。申込前には必ず公式ページで最新情報を確認してください。

この試験、IT系のなかでは珍しく作る力じゃなく評価する力を測るんですよね。現場で監査対応する側からすると、これを持ってる人の指摘は説得力が段違いですよ。
システム監査技術者試験は取る価値があるのか?
システム監査技術者試験は、キャリアの軸足を開発・運用から評価・保証の側へ移したい人にとって、明確な価値を持つ資格です。IPA高度試験の中で監査を専門に扱う唯一の区分であり、内部監査部門やITコンサル、監査法人のIT監査チームでの立ち位置づくりに直結します。
市場評価の面でも軽視できません。合格すると企業によっては資格手当や一時金の対象になり、官公庁や大企業の調達要件でシステム監査技術者が加点評価されるケースもあります。合格率はIPA統計によると令和6年度(2024年度)で受験者数2,278名・合格者数381名の約16.7%と、狭き門です。この希少性が、転職市場でのプレミアムにつながっています。想定年収レンジは職種によりますが、内部監査マネージャーやITコンサルタント層では600万〜1,000万円超の求人にこの資格が歓迎要件として並ぶことも珍しくありません。
開発者やインフラエンジニアがこの資格を取ると、システムを俯瞰してリスクを語れるようになります。逆に、監査経験ゼロの状態でも受験資格は不要なので、キャリアチェンジの入り口として使う人もいます。なお、論述式が課される以上、実務の勘所を言語化する訓練は避けて通れません。
システム監査技術者試験の難易度はどれくらい?
システム監査技術者試験の難易度は、IPA高度試験の中でも最上位クラスです。合格率はIPA統計資料で例年15〜16%前後を推移しており、令和6年度(2024年度)は16.7%でした。応用情報技術者試験の合格率が20%台であることと比べても、記述式・論述式で監査の実務判断を問われる分だけハードルが上がります。
| 対象者 | 学習期間の目安 | 学習のポイント |
|---|---|---|
| 監査・IT実務経験者 | 3〜4ヶ月(150〜200時間) | 論述式の答案構成と時間配分の訓練に集中する |
| 高度試験が初めての人 | 6ヶ月前後(250〜350時間) | まず監査の基本概念とシステム監査基準を体系的に固める |
難所は科目B-2の論述式です。2時間で監査計画や監査手続を筋道立てて書き切る力は、知識の暗記だけでは身につきません。合格者の多くは、過去問の設問を使って複数本の答案を書き、第三者に添削してもらう工程を踏んでいます。

論述って最初はほんとに手が止まるんですよね。でも型を覚えると急に書けるようになる。ここは焦らず、一緒にコツコツいきましょう。
システム監査技術者試験では何が出題される?
システム監査技術者試験は、4つの科目で監査の知識と実践力を段階的に測ります。特に配点上の山場となるのは、記述式の科目B-1と論述式の科目B-2で、ここで実務的な判断力が問われます。
| 出題科目 | 形式・問題数 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 科目A-1 | 四肢択一30問・50分 | 高度試験共通の情報技術全般(テクノロジ・マネジメント・ストラテジ) |
| 科目A-2 | 四肢択一25問・40分 | システム監査の専門知識、監査基準、内部統制、法令・ガバナンス |
| 科目B-1 | 記述式3問中2問・90分 | 事例に基づく監査手続やリスク評価を短文で解答 |
| 科目B-2 | 論述式2問中1問・120分 | 監査計画・監査の実施をテーマにした小論文(2,000〜3,000字規模) |
科目A-2以降はシステム監査に特化した内容が中心で、システム監査基準・システム管理基準の理解が土台になります。近年はクラウド、アジャイル開発、情報セキュリティ、外部委託管理といった現代的なテーマが事例に組み込まれる傾向があり、技術トレンドを監査目線で咀嚼できるかが問われます。
システム監査技術者試験の申し込みから試験当日までの流れは?
申し込み手順
システム監査技術者試験の申し込みは、IPAの試験申込システムからアカウントを作成し、受験区分を選んで受験手数料7,500円(2026年7月時点)を支払う流れです。令和8年度からはCBT方式へ移行するため、申込時に会場・日時を予約する形式になります。
科目A-1試験の免除制度を活用するには
応用情報技術者試験の合格者、いずれかの高度試験・情報処理安全確保支援士試験の合格者、または科目A-1(令和7年度までの午前I)で基準点以上を取得した人は、条件を満たしてから2年間、科目A-1試験の免除を申請できます。申込時に一部免除申請番号を入力すれば、当該科目の試験時間を除いて受験可能です。
CBT会場での受験準備
令和8年度からはテストセンターのコンピュータで受験するCBT方式に変わります。本人確認書類の持参が必須で、私物の持ち込みは制限されるのが一般的です。会場設備や持ち込み可否の詳細は、シラバス案とともに公表されるIPAの案内で必ず確認してください。
試験当日の流れ
後期試験では科目A試験と科目B試験が別日程で実施される予定です。令和8年度後期の場合、科目A試験は2027年2月20日〜3月2日、科目B試験は2027年3月16日〜3月28日の期間で実施されます(2026年7月時点)。受付で本人確認を済ませ、指定された席で受験し、結果は後日IPAサイトで発表されます。
システム監査技術者試験のおすすめ教材は?
ALL IN ONE パーフェクトマスター システム監査技術者(TAC出版)
| 種別 | 書籍(テキスト+問題集一体型) |
| 価格帯 | 約3,800〜4,400円(目安・2026年7月時点) |
| 学習時間の目安 | 80〜120時間 |
| 対象レベル | 初学者〜経験者の土台づくり |
監査の基礎概念から午後対策までを1冊でカバーでき、最初の1冊として扱いやすい構成です。ただし論述の実践量はこれだけでは不足しがちなので、後述の重点対策と組み合わせるのが現実的です。
システム監査技術者 「専門知識+午後問題」の重点対策(アイテック)
| 種別 | 書籍(記述・論述対策特化) |
| 価格帯 | 約3,300〜3,900円(目安・2026年7月時点) |
| 学習時間の目安 | 60〜100時間 |
| 対象レベル | 仕上げ用・論述強化 |
科目B(旧午後)の解答プロセスを丁寧に解説しており、論述の型を身につけたい人に向いています。掲載された答案例をそのまま覚えるのではなく、自分の実務や想定事例に置き換えて書く練習に使うと効果が高まります。
IPA公式 過去問題(無料)
| 種別 | 公式配布のPDF(問題・解答例) |
| 価格帯 | 無料 |
| 学習時間の目安 | 40〜80時間 |
| 対象レベル | 全レベル共通の必須教材 |
IPA公式サイトでは過去の試験問題と論述式の出題趣旨・採点講評が公開されています。市販教材で型を学んだうえで、公式の本物の設問を時間を計って解くと、本番との距離が正確につかめます。採点講評は合格答案の傾向を知る貴重な一次情報です。
システム監査技術者試験に最短で合格する学習戦略は?
システム監査技術者試験の学習は、知識のインプットと論述のアウトプットを分けて設計すると効率が上がります。まず市販テキストで監査の全体像とシステム監査基準を1〜2ヶ月で通読し、並行して科目A対策の択一を過去問で回します。中盤からは重点対策で記述・論述の型を吸収し、終盤はIPA公式の過去問を本番同様の時間制限で解いてください。無料の公式過去問を軸に、有料教材は型と添削のために投資する配分が費用対効果に優れます。

論述は書いて終わりにせず、誰かに読んでもらうのが近道です。自分では気づけない「立場のブレ」を指摘してもらえると一気に伸びますよ。
システム監査技術者試験と関連資格はどちらを取るべき?
システム監査技術者試験は監査・保証の国家資格であり、近い領域には国際資格や他の高度区分があります。目的に応じて優先順位が変わるため、代表的な選択肢を比較しておきましょう。
| 資格名 | 難易度 | 費用 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| システム監査技術者試験(本記事) | 非常に高い | 7,500円 | 国内でIT監査・保証の権威性を示したい人 |
| CISA(公認情報システム監査人) | 高い | 受験料が高額・別途年会費 | グローバル・外資でIT監査を証明したい人 |
| ITストラテジスト試験 | 非常に高い | 7,500円 | 経営戦略とIT企画を担いたい人 |
| 情報処理安全確保支援士 | 高い | 7,500円ほか登録費用 | セキュリティの実装・防御側を担いたい人 |
国内の官公庁・大企業での評価や国家資格の安定性を重視するならシステム監査技術者、外資やグローバル案件での通用性を狙うならCISAが有力です。両者は監査という土台を共有するため、片方の学習がもう片方に活きます。まずシステム監査技術者で体系を固め、次にCISAやITストラテジストへ広げると、監査から戦略まで語れる希少なキャリアに近づけます。
CBT方式移行と2027年度の新試験制度で何が変わる?
システム監査技術者試験は、令和8年度(2026年度)からペーパー方式のCBT方式への移行という大きな節目を迎えます。従来の午前試験が科目A、午後試験が科目Bへと名称変更され、システム監査技術者試験は後期試験として2027年2月〜3月に実施される予定です。試験時間や問題数の骨格は現行を踏襲しますが、受験はテストセンターのコンピュータで行う形へ切り替わります(2026年7月時点)。
さらにIPAは、令和9年度(2027年度)から情報処理技術者試験の枠組み自体を見直す方針を公表しています。現行の試験制度は令和8年度実施をもって一区切りとなり、新体系へ移行する予定です。受験を検討している人にとっては、現行制度で挑めるタイミングを見極めることが重要になります。合格基準や免除制度の細部を含む正式な内容は、2026年夏頃に公表されるシラバス案・サンプル問題で確定する見込みです。

制度の変わり目って情報が錯綜しがちなんですが、こういうときこそ公式一次情報が最強です。ここまで読んだあなたは、もう準備万端ですよ。
よくある質問
-
Q実務経験がなくてもシステム監査技術者試験に合格できますか?
-
A
受験資格は不要なので、監査未経験でも挑戦は可能です。もっとも論述式では監査人の立場で実務判断を書く必要があり、事例に基づいた答案練習と監査基準の理解が合否を分けます。応用情報技術者などで基礎を固めてから臨むと負担が軽くなります。
-
Qシステム監査技術者試験の合格にはどのくらいの学習時間が必要ですか?
-
A
目安は経験者で150〜200時間、高度試験が初めての人で250〜350時間です。知識のインプットよりも、論述式の答案を繰り返し書くアウトプットにどれだけ時間を割けるかが到達度を左右します。
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Q科目A-1試験の免除は使えますか?
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A
応用情報技術者試験の合格、他の高度試験や情報処理安全確保支援士試験の合格、または科目A-1で基準点以上を取得すれば、条件充足から2年間は科目A-1試験の免除を申請できます。申込時に一部免除申請番号を入力すると、その科目の受験が不要になります。
-
Q合格後に更新手続きや費用はかかりますか?
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A
更新は不要で、合格は生涯有効です。国際資格のCISAが年会費や継続教育(CPE)を求めるのに対し、システム監査技術者試験は一度合格すれば追加費用なしで資格が維持できる点が特徴です。
-
Qシステム監査技術者試験とCISAとの違いは何ですか?
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A
最大の違いは、国内の国家試験か国際資格かという点です。システム監査技術者試験はIPAの国家試験で論述式が課され、合格は生涯有効・追加費用なしです。CISAはISACAの国際資格で選択式中心、グローバルな通用性が高い一方、年会費と継続教育が必要になります。国内官公庁向けなら前者、外資・海外案件なら後者が有利です。
この記事と一緒に知っておきたい資格
| 関連資格 | この記事との関連 |
|---|---|
| CISA(公認情報システム監査人) | 同じIT監査領域の国際資格で、併せ持つと国内外で通用性が高まる |
| ITストラテジスト試験 | 経営とITをつなぐ上流の高度区分で、監査の視点と補完関係にある |
| システムアーキテクト試験 | 設計側の高度区分で、監査対象となるシステム構築の理解が深まる |
| プロジェクトマネージャ試験 | プロジェクト監査の対象を扱うため、管理側の知識が監査に活きる |
| 応用情報技術者試験 | 高度試験の前段にあたり、科目A-1免除の条件にもなる登竜門 |
【出典】参考URL
https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/au.html :対象者像・科目構成・試験時間・出題形式の根拠
https://www.ipa.go.jp/shiken/2026/ap_koudo_sc_kikan.html :令和8年度後期の申込受付期間・試験実施期間の根拠
https://www.ipa.go.jp/shiken/2026/ap_koudo_sc-cbt.html :CBT方式移行・科目名称変更・移行時期の根拠
https://www.ipa.go.jp/shiken/mousikomi/schedule.html :受験手数料(7,500円)の根拠
https://www.ipa.go.jp/shiken/about/koudo_menjo.html :科目A-1試験免除制度の条件・有効期間の根拠
https://www.ipa.go.jp/shiken/reports/nq6ept000000i5c9-att/toukei_r06.pdf :令和6年度の受験者数・合格者数・合格率の根拠
https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/henkou/2025/20260331.html :令和9年度以降の新試験制度移行の検討状況の根拠

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