IaaSとは?クリックで借りるインフラの仕組みと責任範囲を解説

システム開発・テクノロジー
IaaSとは?ざっくりと3行で
  • Infrastructure as a Serviceの略(読み:イアース)。サーバー・ストレージ・ネットワークなどのインフラをインターネット越しに借りられるクラウドサービスの提供形態だ
  • 物理ハードウェアの購入・設置・保守をクラウド事業者が担い、利用者はOSから上の部分を自由に構成できる。自由度の高さがIaaS最大の特徴だ
  • AWS EC2・Google Compute Engine・Azure Virtual Machinesが代表サービス。必要なときだけ仮想サーバーを起動し、不要になれば即座に削除できる

【深掘り】これだけ知ってればOK!

IaaSが登場する前、企業がサーバーを持つには物理サーバーを購入して自社に設置するしかなかった。調達に数週間、設置・構築に数日かかるのが当たり前で、「まずサーバーを買ってから開発を始める」という時代だった。IaaSはその常識を根本から変えた。

今では数クリックで仮想サーバーが数分以内に起動できる。使い終わったら即削除、費用はその間だけ。このモデルは特にスケールが読めないスタートアップにとって革命的だった。売れるかどうかわからないサービスのために数百万円のサーバーを先行購入するリスクが、ほぼゼロになったのだ。

IaaSの責任分担を理解するのが実務では重要だ。クラウド事業者は物理ハードウェア・データセンター・仮想化レイヤーを管理する。利用者はその上に乗るOS・ミドルウェア・アプリケーション・データを自分で管理する。これを責任共有モデルと呼ぶ。OSのセキュリティパッチを誰が当てるか、この認識がずれていると深刻な脆弱性につながることがある。

IaaSの自由度はメリットでもあり落とし穴でもある。OSの選択・ネットワーク設定・セキュリティグループの構成など、すべて自分で決める必要がある。PaaSやSaaSと違い、設定ミスの責任は利用者にある。適切なIAMロール設定・セキュリティグループの最小権限化・定期的なパッチ適用が、IaaS利用における最低限の運用ルールだ。

ビジネス観点からIaaSの価値を整理すると、初期コストの圧縮スケーラビリティの確保の2点に集約される。オンプレミスなら数千万円かかるインフラ投資を、月数万円の運用コストに転換できる。またトラフィックが急増したときも、追加サーバーを数分で立ち上げて対応できる。この柔軟性が、現代のWebサービス開発の標準形となった根本的な理由だ。

よくある誤解

IaaSを使えばセキュリティは全部クラウド任せ、は危険な思い込み

クラウド事業者が管理するのはデータセンターと物理インフラまでだ。OSのパッチ適用・ファイアウォール設定・アクセス権限の管理は利用者の責任となる。AWSやGCPなどが公表している責任共有モデルを一度確認しておくことが、IaaS導入時の必須ステップといえる。実際、クラウド環境での情報漏洩の多くは設定ミスによるものだ。

IaaSは常にオンプレミスより安いわけではない

初期投資は確実に下がるが、24時間365日フル稼働のサーバーをIaaSで長期運用すると、オンプレミスよりトータルコストが高くなるケースがある。AWSにはリザーブドインスタンス(1〜3年の予約購入)という割引オプションがあり、常時稼働のワークロードにはこちらを活用するのが費用最適化の定石だ。従量課金が必ずしもコスト最安とは限らない点を覚えておきたい。

IaaSとVPS(仮想専用サーバー)は似て非なるもの

どちらも仮想サーバーを借りる点では共通しているが、スケーラビリティと付随サービスの豊富さが根本的に異なる。VPSは固定スペックのサーバーを借りるシンプルな形態で、IaaSはストレージ・ネットワーク・ロードバランサー・データベースなどと組み合わせてシステム全体をクラウド上で構築できるエコシステムを提供する。単純にサーバーを借りたいだけならVPS、システム全体をクラウドで組むならIaaSという使い分けになる。

会話での使われ方

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今の自社サーバー、5年で減価償却が終わるんで、次の更新はIaaSに移行しようと思ってます。初期投資ゼロにできるのと、スケールアップが楽になるので。

情報システム部門の担当者が、年度末の予算計画会議で上長にインフラ方針を報告している場面。物理サーバーの更新タイミングはクラウド移行の好機として定番のきっかけだ。

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IaaSってOSの管理は自分たちでやるんですよね?パッチ当てとか、誰が担当するか先に決めておかないとまずいと思います。

クラウド移行プロジェクトのキックオフで、インフラエンジニアが責任分担の確認を求めている場面。責任共有モデルの認識を揃えておくことが安全運用の第一歩だ。

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開発環境はIaaSで立てて、不要なときは落としてます。本番はPaaSにして管理コスト減らす方向で考えてます。

スタートアップのCTOがエンジニア採用面接で、インフラ構成の方針を自然に説明している場面。IaaSとPaaSを用途別に使い分ける構成は実務でよく見られる。

IaaSの歴史

IaaSの歴史はクラウドコンピューティング普及の歴史そのものだ。物理サーバーを買う時代からクリック一つでインフラを調達できる時代への転換を振り返ることで、現在のIaaSの価値が際立つ。

出来事
2006年AWSがAmazon EC2(仮想マシン)とS3(ストレージ)を一般提供開始。IaaSという概念が初めて商業サービスとして登場した。
2008年Google App Engine(PaaS)が登場。IaaSに続きPaaSも市場が形成され、クラウドの多層化が始まった。
2010年MicrosoftがAzureを正式リリース。AWSと並ぶ大手IaaSプロバイダーが誕生し、企業向け市場が本格化。
2012年頃Google Compute Engineが登場。三大クラウドのIaaSが出揃い、競争による価格下落と機能拡充が加速。
2020年以降コロナ禍でのリモートワーク普及がクラウド移行を加速。大企業のオンプレミスからIaaSへの移行案件が急増。
現在GartnerによるとIaaS市場はAWSが首位を維持。2022〜2023年のシェアはAWS約31%・Azure約25%・GCP約11%とされる。

【まとめ】3つのポイント

  • 「クリックで借りるレンタルサーバー基盤」:IaaSは物理インフラをクラウド事業者が管理し、OSから上を自由に構成できる形でインターネット越しに提供するサービス形態だ
  • 初期コストゼロ・スケール自在が経営判断を変える:サーバー購入という先行投資が不要になり、需要の変化に合わせてインフラを即座に増減できるため、事業の機動力が大きく向上する
  • 責任共有モデルを把握しないと穴になる:OS管理・パッチ適用・アクセス権限の設定は利用者の責任。「クラウドに任せたから安全」という思い込みが情報漏洩の温床になりうる

よくある質問

Q
IaaSはどんな企業・用途に向いていますか?
A

OSやミドルウェアを細かく制御したい・既存のオンプレミス環境をそのままクラウドに移行したい・開発環境を必要なときだけ立ち上げてコストを抑えたい、といったニーズに向いています。逆に、インフラ管理の手間を極力省きたいなら、マネージドサービスが多いPaaSやFaaSのほうが合理的な選択肢になります。

Q
IaaSの料金体系はどうなっていますか?
A

基本は従量課金で、サーバーの起動時間・ストレージ容量・データ転送量などに応じて課金されます。AWSの場合、EC2インスタンスを1時間単位で使った分だけ支払います。長期利用が確定している場合はリザーブドインスタンス(1〜3年予約)やAWS Savings Plansを活用すると、オンデマンド価格から最大75%程度の割引を受けられます。

Q
IaaSを使うのにAWS・Azure・GCPのどれがいいですか?
A

サービス数と実績の豊富さではAWSが現状最多ですが、Microsoft製品(Office 365・Active Directory)との統合ならAzure、データ分析やAI活用が中心ならGCPが強みを持ちます。初学者がまず試すならAWSが無難で、無料利用枠(12ヶ月間)も整備されており学習リソースも最も充実しています。

Q
IaaSとPaaSの違いは何ですか?
A

管理する範囲が違います。IaaSはOSから上を自分で管理するため自由度が高い半面、専門知識が必要です。PaaSはOSやランタイムまでクラウド側が管理し、開発者はアプリケーションのコードを書くことに集中できます。自由に環境を組みたいならIaaS、管理負担を減らして開発に集中したいならPaaSという判断軸が基本です。

この用語と一緒に知っておきたい用語

用語この記事との関連
サーバーサーバーを押さえると本記事の理解がさらに深まります。ネットワークを通じて情報やサービスを提供する側のコンピューターのこと。レストランで料理を運んでくれる給仕係(server)をイメージするとわかりやすいよ
PaaSPaaSとの関係を知ると全体像がつかみやすくなります。Platform as a Serviceの略(読み:パース)。OSやランタイム・ミドルウェアなど開発に必要な基盤をクラウドがまるごと提供するサービス形態だ
データ本記事のテーマと実務上セットで使われることが多い用語です。コンピュータが処理する数値や文字、画像といった事実や資料そのもの、それがデータだ
オンプレミスオンプレミスを押さえると本記事の理解がさらに深まります。自社内にサーバーやネットワーク機器を設置し、自社で管理・運用するITインフラの形態。on-premisesの日本語読みで「オンプレ」と略されることが多い
AzureAzureは関連分野でよく登場する重要キーワードです。Microsoftが提供する、サーバーやAI・データベースをネット経由で借りられるクラウドサービスの総称のこと!

【出典】参考URL

https://aws.amazon.com/jp/what-is/iaas/ :AWS公式IaaS解説
https://www.nttpc.co.jp/column/network/whats_iaas.html :IaaSとPaaS・SaaSの比較
https://www.mec.docomo.ne.jp/portal/column/iaas.html :IaaSの代表サービスと市場シェア
https://kinsta.com/jp/blog/what-is-iaas/ :IaaSとVPSの違いを含む詳細解説

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「IT用語、難しすぎて心が折れそう……」という方のための、ハードル低めな用語辞典です。

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