ARRとは?年間経常収益の意味をやさしく解説

マーケティング・戦略
ARRとは?ざっくりと3行で
  • ARRというのは、サブスクリプション型のビジネスで、1年間に継続的に得られる収益を表す指標のことだよ。
  • 毎月決まって入ってくる売上を1年分に換算したもので、事業がどれだけ安定した収入基盤を持つかを示している。
  • この指標の意味が分かると、なぜSaaS企業が売上高とは別にARRをこれほど重視するのかが見えてきます。

【深掘り】これだけ知ってればOK!

ARRはAnnual Recurring Revenueの略。鍵となるのは真ん中のRecurring、つまり繰り返し・継続的にという部分です。

ARRは、日本語で年間経常収益などと訳されます。ポイントは経常、すなわち毎年継続して見込める収益だけを対象とする点です。たとえば月額制のソフトウェアサービスで、契約者から毎年安定的に入ってくる利用料がこれにあたります。一方、初期導入費用や一回限りのコンサルティング料といった、継続性のない一時的な収益は含めません。なぜこの区別が大事かというと、継続収益こそが事業の安定性と将来の予測可能性を示すからです。来年も再来年も見込める収入がどれだけあるか——それを測るのがARRなのです。

ARRと切り離せないのがMRRという指標です。MRRは月間の経常収益を指し、両者はシンプルな関係で結ばれています。基本的には、MRRを12倍したものがARRになります。月単位で事業の勢いを見るならMRR、年単位で規模や成長を捉えるならARR、と使い分けられます。特にサブスク型のビジネスでは、単発の売上高よりも、この継続的な収益の積み上がりが企業価値を測る重要なものさしとして注目されます。

ARRは増えるだけではありません。解約や契約縮小によって減る分もあります。増加分だけ見て喜んでいると、足元の流出を見落とします。

ARRの動きを正しく捉えるには、新規契約による増加だけでなく、既存顧客のプラン拡大による増加、逆に解約や減額による減少まで含めて見る必要があります。とりわけ重要なのが、どれだけの顧客や収益が離れていったかを示す解約の状況です。新規をいくら積んでも、それを上回る勢いで解約が進めば、ARRは目減りします。健全なサブスク事業は、新規獲得と既存維持の両輪で着実にARRを伸ばしていくもの。単なる売上の大きさではなく、その収益がどれだけ続き、積み上がっていくかという視点が、この指標の本質になります。

よくある誤解

ARRは単なる年間売上高と同じだという誤解

年間の売上総額と混同されがちですが、対象が違います。ARRに含めるのは、継続的・反復的に見込める経常収益だけです。初期費用や一回限りのスポット収益は、たとえ金額が大きくても含めません。継続性のある収益に絞って測る点が、通常の売上高との決定的な違いです。

ARRが増えていれば事業は安泰だという思い込み

総額が伸びているから大丈夫、とは限りません。新規契約で増えた裏で、既存顧客の解約が進んでいることもあります。表面の数字だけでなく、増加の内訳と解約の状況を分けて見ないと、事業の本当の健康状態は分からないのではないでしょうか。

会話での使われ方

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今期、新規ARRは好調ですが、解約による減少も増えています。獲得と同時に、既存顧客の維持施策を強化しましょう。

SaaS企業の事業責任者が、経営会議でメンバーに課題を共有している場面です。

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投資家への資料でARRって指標を使えって言われたんですけど、普通の売上とどう違うんですか?

スタートアップの若手担当者が、先輩にSlackでざっくばらんにARRについて尋ねているトーンです。

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来期の事業計画は、ARRベースで成長率を設定したいです。MRRの実績から積み上げて、現実的な目標を一緒に作りましょう。

経営企画担当が、外部のアドバイザーとの打ち合わせで方針を相談している場面です。

【まとめ】3つのポイント

  • 続く収益を年で測る:ARRとは、サブスク事業で1年間に継続的に見込める経常収益のことで、一時的な収益は含めません。
  • MRRの12倍が基本:月間経常収益であるMRRを12倍したものがARRにあたり、月単位と年単位で事業を捉え分けられます。
  • 解約まで含めて見る:新規や拡大による増加だけでなく、解約や減額による減少も含めて捉えることが、事業の健全性の把握につながります。

よくある質問

Q
ARRとは何の略ですか?
A

Annual Recurring Revenueの略で、日本語では年間経常収益などと訳されます。1年間に継続的・反復的に得られる収益を表す指標で、特に月額制などのサブスクリプション型ビジネスで重視されます。

Q
ARRには何を含めますか?
A

継続的に見込める経常収益だけを含めます。月額や年額の利用料など、毎年反復して入ってくる収益が対象です。逆に、初期導入費用や一回限りのコンサルティング料といった、継続性のない一時的な収益は含めません。

Q
なぜARRが重視されるのですか?
A

事業の安定性と将来の予測可能性を示すからです。継続的に見込める収益がどれだけあるかが分かれば、来期以降の見通しが立てやすくなります。単発の売上高より、積み上がる継続収益のほうが、サブスク事業の価値を正確に表すと考えられています。

Q
ARRとMRRとの違いは何ですか?
A

対象とする期間が異なります。ARRは1年間の経常収益、MRRは1ヶ月間の経常収益を表します。基本的にはMRRを12倍したものがARRになります。短期の勢いや変化を見るならMRR、年単位の規模や成長を捉えるならARRが向いています。

【出典】参考URL

総務省 情報通信白書: サブスクリプション経済の動向 https://www.soumu.go.jp/
中小企業庁: SaaS・サブスク型事業の経営指標解説 https://www.chusho.meti.go.jp/
日本経済新聞 用語解説: ARR・経常収益の解説 https://www.nikkei.com/

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「IT用語、難しすぎて心が折れそう……」という方のための、ハードル低めな用語辞典です。

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