ハイプサイクルとは?新技術の期待と幻滅を表すGartnerのフレームワーク

企画・プロジェクト管理
ハイプサイクルとは?ざっくりと3行で
  • Gartnerが提唱する新技術への社会的な期待値が時間とともにどのように変化するかを表した曲線のフレームワークのこと
  • 「過度な期待」のピーク→「幻滅」の谷→「啓発」の斜面→「生産性の台地」という5つのフェーズを経て技術が成熟していくパターンを示す
  • 毎年Gartnerが各技術のハイプサイクル上の位置を公開しており、AI・メタバース・量子コンピューティングなど話題の技術への投資タイミングの判断指標として経営層・IT担当者に広く活用されている

【深掘り】これだけ知ってればOK!

ハイプサイクルの5つのフェーズを理解しよう。①黎明期(Innovation Trigger):技術の誕生・初のデモで注目が集まる。②過度な期待のピーク(Peak of Inflated Expectations):メディアが大々的に取り上げ期待が過剰になる。③幻滅期(Trough of Disillusionment):期待通りに使えないと分かり失望・投資撤退が起きる。④啓発期(Slope of Enlightenment):本当の使い方が分かり始め実用化が進む。⑤生産性の台地(Plateau of Productivity):技術が成熟し安定的に価値を提供できる状態になる。

ハイプサイクルの実例を見てみよう。仮想通貨・ブロックチェーンは2017〜2018年に過度な期待のピークを迎え、2019〜2020年に幻滅期に落ち、現在は一部の用途(決済・NFT・DeFi)で啓発期・生産性の台地にある。VR/メタバースは2021〜2022年に過度な期待のピークを迎えた後、幻滅期に入った。生成AIは2023年以降に過度な期待のピークを迎え、現在は啓発期に移行しつつある。

ハイプサイクルを投資判断に活用する方法として、「幻滅期こそが投資好機」という考え方がある。過度な期待のピーク時は競合が多く投資コストが高い。幻滅期には多くの企業が撤退するため競合が減り、技術コストも下がる。本当に使える技術であれば啓発期・生産性の台地で競合優位を築ける。Amazon・Googleは検索・EC・クラウドが幻滅期にあった時期に大規模投資を行って市場を独占した。

ハイプサイクルには批判的な観点もある。全ての技術がこの曲線を辿るわけではなく、幻滅期から消えてしまう技術も多い。またGartnerの分析は特定のベンダーへのバイアスがかかる可能性があるという批判もある。ハイプサイクルはあくまでも「大まかなトレンドの方向感を把握するための参考指標」として使い、詳細な投資判断は別途行うことが重要だ。

IT担当者がハイプサイクルを実務で使う際の注意点として、Gartnerは企業・業界別のハイプサイクルを複数公開しており(AIのハイプサイクル・セキュリティのハイプサイクルなど)、自分の業界・領域に関連するものを参照することが重要だ。また年次で更新されるため、常に最新版を参照することで技術トレンドの変化を継続的に把握できる。

よくある誤解

ハイプサイクルの位置が高ければ投資すべきだと思っている

過度な期待のピークは投資コストが最も高く、その後の幻滅期で期待が剥がれる危険性が高い。ハイプサイクル上の位置だけで投資判断をするのではなく、自社の業界・用途・競合動向と合わせた総合的な判断が必要だ。

ハイプサイクルは予測ではなく確定した技術の進化経路だと思っている

ハイプサイクルは過去の技術の傾向から導き出されたパターンモデルで、将来を確定的に予測するものではない。幻滅期から回復せずに消える技術も多く、「啓発期まで到達する」という保証はない。あくまでも参考指標として活用することが重要だ。

会話での使われ方

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生成AIはGartnerのハイプサイクルで今どのあたりにいるんでしょうか。過度な期待のピークを過ぎて啓発期に入り始めたとの分析もあります。

ITコンサルタントがクライアントの経営会議で生成AIへの投資タイミングを議論している場面。

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メタバースへの投資、今は幻滅期ですが本当に使えるユースケースが出てくれば啓発期に移行します。今のうちに実証実験を続けておく価値はありますよ。

テクノロジーアナリストが企業のIT戦略会議でハイプサイクルを使った投資判断の視点を提供している場面。

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このベンダー、ハイプサイクルで今年初めて載った技術を推してきているんですが、黎明期の技術への早期投資はリスクが高いので慎重に判断しましょう。

情報システム部門の担当者がベンダー提案の評価でハイプサイクルを参考にしながら意見を述べている場面。

【まとめ】3つのポイント

  • 技術への期待値が過熱→幻滅→成熟という5段階を経ることを示すモデル:新技術への過度な期待と幻滅を経て本当の価値が見えてくるというパターンを理解することで、技術投資のタイミングと自社にとっての適切な参入時期を判断する指針になる
  • 幻滅期こそが本命技術への投資好機になりうる:期待のピーク時に比べて幻滅期は競合が少なく技術コストも下がるため、技術の将来性を見極めた上での先行投資が後の競合優位につながる可能性がある
  • 参考指標として活用し自社の文脈と組み合わせて判断する:ハイプサイクルは確定的な予測ではなくトレンドの方向感を把握するための参考であり、自社の業界・用途・競合状況と合わせた総合的な判断が重要だ

よくある質問

Q
ハイプサイクルはいつ更新されますか?
A

Gartnerは毎年夏頃(7〜8月)に新しいハイプサイクルを公開します。AI・セキュリティ・クラウド・IoTなど領域別に複数公開されており、有料レポートとして提供されますが概要版はGartnerのWebサイトで確認できます。

Q
ハイプサイクルで「5〜10年で生産性の台地に達する」とはどういう意味ですか?
A

Gartnerが各技術に付けている「生産性の台地(成熟)に達するまでの予測期間」を示します。2年以内・2〜5年・5〜10年・10年以上という区分で示され、投資回収のタイムフレームを判断する参考になります。

Q
ハイプサイクルで技術が消えるとはどういうことですか?
A

幻滅期を経て啓発期に進まず、生産性の台地に達しないまま市場から姿を消すことです。Google Glass・3Dテレビなど一時期大きな期待を集めながら商業的に成功しなかった技術がこのパターンです。ハイプサイクルに一度掲載されても必ず成熟するとは限りません。

Q
ハイプサイクルはGartner以外も作っていますか?
A

Gartnerのハイプサイクルが最も有名ですが、類似の概念を使った技術成熟度分析はIDC・Forresterなどの調査会社も発表しています。またTechnology Readiness Level(TRL)という米国NASAが開発した技術成熟度の尺度も類似の目的で使われます。

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【出典】参考URL

https://www.gartner.com/en/research/methodologies/gartner-hype-cycle :Gartnerハイプサイクルの公式ページ
https://www.gartner.com/en/articles/what-s-new-in-the-2024-gartner-hype-cycle-for-emerging-technologies :Gartner 2024年ハイプサイクルの解説
https://it.impress.co.jp/articles/-/27074 :Gartnerハイプサイクル2024の日本語解説(Impress IT)

コメント

「IT用語、難しすぎて心が折れそう……」という方のための、ハードル低めな用語辞典です。

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