SNSの急速な普及は、企業が情報発信を行う上でかつてないほどの機会をもたらしました。しかしその一方で、企業による何気ない一言や行動が、瞬く間に広がり、予期せぬ炎上を引き起こすリスクも増大しています。SNSはその拡散性の高さから、一度炎上してしまうと、企業のブランドイメージは大きく傷つき、顧客からの信頼を失墜させ、ひいては業績にも深刻な影響を与えかねません。
このような状況下において、企業が炎上発生時にどのように謝罪を行うかは、事態を収束させ、失われた信頼を回復するための重要な鍵です。適切な謝罪は、社会からの理解と共感を呼び起こし、炎上の鎮火へと繋がる可能性があります。しかし、不誠実な謝罪や的外れな対応は、更なる炎上を招き、企業イメージを決定的に悪化させてしまうこともあります。
当記事では、SNS上で炎上した企業が謝罪によって事態を収束させた成功事例と、逆に謝罪によって更なる炎上を招いてしまった失敗事例を徹底的に分析。これらの事例を比較することで、SNS時代において効果的な謝罪とはどのようなものなのか、その具体的な方法と注意点を深く掘り下げていきます。
SNS炎上からの鎮火に成功した企業の謝罪例
過去には、SNSでの炎上に対して適切な謝罪を行い、事態の沈静化に成功した企業が数多く存在します。これらの成功事例から、効果的な謝罪を行うための重要な要素を学ぶことができます。
ウォルト・ディズニー・ジャパン公式アカウントの事例
2015年8月9日、ウォルト・ディズニー・ジャパンの公式Twitterアカウントは、「A VERY MERRY UNBIRTHDAY TO YOU!」というメッセージと共に、アリスの画像を投稿しました。この投稿は、8月9日が長崎原爆の日であったことから、「なんでもない日おめでとう」という意訳が、国民感情に配慮を欠いた不適切な表現であるとして、多くの批判を浴び、炎上へ。
この炎上に対し、ウォルト・ディズニー・ジャパンは迅速に対応。該当のツイートを削除し、公式アカウントを通じて謝罪を行いました。謝罪文では、「8月9日のディズニーTwitterアカウントからのツイートについて、皆様にご不快な思いをさせてしまう不適切な表現がありましたことを深くお詫び申し上げます。今後につきましては細心の注意を払ってアカウント運営を行ってまいります。」と、丁寧な言葉遣いで謝罪の意を示しました。
この事例から、炎上初期における迅速な対応と、具体的な問題点を認識し、明確に謝罪する姿勢が、事態の悪化を防ぐ上で非常に重要であることが分かります。国民の記憶に深く刻まれた日に不適切な投稿を行ったという過ちを認め、真摯に謝罪したことが、炎上の鎮火に繋がったと考えられます。
アディダス・ノースアメリカの事例
2017年4月17日、アディダスの子会社であるアディダス・ノースアメリカは、ボストンマラソンの参加者26,492名に対し、「おめでとう、あなたはボストンマラソンを生き延びた!」という件名のメールを送信しました。このメールは、2013年4月に発生したボストンマラソン爆破テロ事件を想起させる不適切な表現であるとして、SNS上で多くの批判を浴び、炎上しました。
この事態に対し、アディダス・ノースアメリカは公式Twitterアカウントを通じて即座に「深くお詫び申し上げます」と謝罪し、メールの件名がボストンマラソン爆破テロの記憶を呼び起こし、不快感を与えてしまったことに対し、配慮が欠けていたことを認めました。
この事例は、過去の悲劇を連想させるような表現は、人々の感情を深く傷つける可能性があることを示唆しています。アディダス・ノースアメリカは、迅速に謝罪し、不適切な表現であったことを認めることで、更なる批判を抑えることができました。被害者への共感を示す姿勢が、炎上鎮火に繋がったと言えるでしょう。
楽天トラベルの事例
2017年、楽天トラベルの公式Twitterアカウントは、シンガーソングライターの柴田淳さんのツイートに対し、「ぶさいく」という言葉でリプライを送りました。この行為は、企業の公式アカウントによる個人への誹謗中傷であるとして、インターネット上で大きな批判を浴び、炎上。
批判が殺到したことを受け、楽天トラベルは柴田淳さんに対し、公式アカウントを通じて謝罪を行いました。具体的な謝罪文の詳細は不明ですが、公式アカウントから個人に対して謝罪したという事実は、誠意ある対応として評価されました。
この事例は、企業の公式アカウントといえども、個人の尊厳を傷つけるような発言は許されないということを明確に示しています。被害者本人に直接謝罪するという誠意ある対応が、事態の悪化を防ぎ、一定の鎮火に繋がったと考えられます。
医薬品メーカーの事例 (のどあめドーピング)
ある著名なスポーツ選手が、市販されているのどあめにドーピング成分が含まれているという誤った情報をTwitterに投稿したことがきっかけで、当該医薬品メーカーのウェブサイトや公式Twitterアカウントに批判が殺到し、炎上。実際には、こののどあめにドーピング成分は含まれていませんでした。
この風評被害に対し、医薬品メーカーは即座に訂正情報を公開し、消費者の不安を解消しました。さらに注目すべきは、同社が選手の実名を指摘したり、所属協会にクレームを入れたりすることなく、むしろ謝罪に訪れた選手に対し「応援する」と述べたことです。この寛容な対応は「神対応」と評価され、多くのポジティブな投稿やコメントが寄せられ、結果的に企業のイメージアップに繋がりました。
この事例から、誤った情報に基づく炎上に対しては、感情的な反論ではなく、冷静に事実を伝え、相手を責めることなく寛容な姿勢を示すことが、事態の収束と信頼回復に有効であることが分かります。
食品会社の事例 (ペヤング昆虫混入)
2014年、まるか食品が製造・販売する「ペヤングソースやきそば」に昆虫が混入していたという事案が発生し、SNSを中心に大きな炎上となりました。
当初、同社は「弊社の製造ラインではありえない」と主張しましたが、SNSでの批判が拡大したことを受け、すぐに社内調査を実施し、社内混入の可能性を否定できないと発表。その後、同社は徹底的な再発防止策を打ち立て、具体的な対策内容(製造ラインへのカメラ導入、設備の刷新、製品パッケージを密閉容器に変更するなど)を詳細に公開し、消費者の信頼回復に努めました。
この事例は、「謝罪」「原因究明」「再発防止」の3点セットが、不祥事からの信頼回復に不可欠であることを示しています。事実を迅速に確認し公表すること、具体的な再発防止策を示すこと、そして透明性の高い情報開示を行うことが、消費者の安心感に繋がり、再発売後の売り上げ増加という結果に結びつきました。
スープストックトーキョーの事例 (離乳食無料提供)
2023年4月、スープストックトーキョーが公式Twitter(現X)で、全店舗で離乳食(後期)の無料提供と、もう少し大きくなった子供向けのキッズセットの提供を開始すると発表。この発表に対し、子育て世代からは好意的な意見が多く寄せられた一方で、一部のユーザーからは「落ち着かなくなる」「狭い店舗にベビーカーはどうなのか」といった懸念の声が上がり、議論となりました。
この議論に対し、同社は約1週間後に公式サイトで声明を発表。声明では、企業理念に基づき「食のバリアフリーの取り組みを推進」しているという信念や、それまでに行ってきたグルテンフリーやベジタリアン対応スープの販売などの取り組みについて説明し、離乳食の提供もその一環であると述べました。
この事例は、必ずしも炎上に対して謝罪が常に有効とは限らないことを示唆しています。スープストックトーキョーは、自社の行動が企業理念に基づいたものであり、悪いことをしているわけではないという信念に基づき、安易な謝罪はせず、毅然とした態度で企業理念や信念を伝えたことが、結果的に理解を得られ、議論の沈静化に繋がったと考えられます。
チケットサイトの事例 (ローソンエンタテインメント)
2017年9月、ローソンチケットを運営する株式会社ローソンエンタテインメントの顧客が、X(旧Twitter)で「購入したチケットが勝手にキャンセル扱いになった」と投稿。この投稿により、一時的に企業側を非難する投稿が相次ぎ、炎上状態となりました。
しかし、その後の調査で、顧客の投稿内容は事実ではないことが判明。同社は、直接顧客とやり取りして事実確認を重ね、自社に非がないことを確認してから、その旨を発表しました。
この事例は、SNSで拡散される情報が必ずしも真実とは限らないことを示しています。ローソンエンタテインメントは、冷静に事実確認を行い、自社に非がないことを確認した上で発表したことで、誤った情報に基づく炎上の拡大を防ぐことができました。
紳士服ブランドの事例 (差別的発言)
ある紳士服ブランドが実施した男性用ワイシャツのキャンペーンにおいて、その名称が衣服の下の肌着が透けて見える状態を指すハラスメントを含む言葉であったため、「ハラスメントを軽んじている」「マーケティングのために冗談で使う言葉ではない」といった批判が寄せられ、炎上しました。
この炎上に対し、同ブランドは速やかに問題となったツイートを削除し、謝罪対応を行いました。迅速な対応と、問題となった表現が不適切であったことを認め謝罪したことが、事態の鎮火に繋がったと考えられます。マーケティングにおける表現は、多様な視点から慎重に検討する必要があることを示唆する事例です。
SNS炎上をさらに拡大させてしまった企業の謝罪例
一方で、SNSでの炎上に対し、不適切な謝罪や対応を行ったために、事態を収束させるどころか、更なる炎上を招いてしまった企業も存在します。これらの失敗事例から、避けるべき謝罪のパターンや対応について学ぶことができます。
自動車ディーラーの事例 (障害者揶揄動画)
2023年5月2日、SNS上で自動車ディーラーの従業員が障害者を揶揄する動画を拡散したことが発覚し、大きな炎上。この状況に対し、自動車ディーラーは謝罪文を発表しましたが、その内容が更なる非難を招きました。
謝罪文において、同社は炎上動画について謝罪したものの、「障害者を揶揄するつもりはなかった」と釈明。しかし、動画の内容を見る限り、明らかに障害者を揶揄しているとしか見えないため、この釈明はユーザーからの不信感を招きます。また、謝罪文では問題の性質や深刻さについての明確な認識が不足しており、今後の対策や改善策についての具体的な記述もありませんでした。
この事例は、明らかな問題に対して言い訳をするような謝罪は、更なる反発を招くことを示しています。誠実な謝罪と、具体的な再発防止策の提示が不可欠です。
コラボレーションカフェ運営企業の事例 (不適切な投稿)
2023年1月17日、女性向けゲームブランドとのコラボレーションカフェを運営する企業が、コラボカフェの公式Twitterアカウントで行った不適切な投稿について謝罪。しかし、この謝罪も十分とは言えず、SNS上での炎上を鎮火するには至りませんでした。
謝罪文では、問題が不適切な投稿とされていたにもかかわらず、その詳細や問題点に触れないまま、謝罪の意を表明。これにより、ユーザーからは企業が問題を真剣に受け止めているのか疑念の目が向けられました。また、謝罪文には、今後の対策や改善策についての具体的な記述が不足しており、企業の誠実な改善意欲に疑問を抱かせる結果となりました。
この事例は、抽象的な謝罪ではなく、何が問題だったのかを具体的に示し、再発防止に向けた具体的な行動を示す必要があることを示唆しています。
中古車販売大手A社の事例 (保険金不正請求問題)
中古車販売大手A社で保険金の不正請求問題が発覚した際の記者会見で、当時の社長が陳謝。しかし、会見において社長は引責辞任する意向を示したものの、「私は知らなかった」という発言が、経営陣の保身であると受け止められました。
さらに、整備スタッフがゴルフボールを入れた靴下で車を傷つけていた行為について、「ゴルフを愛する人への冒涜」という的外れな見解を示したため、問題の本質である中古車ユーザーへの配慮を欠いていると見なされ、まるで他人事のような態度であるという印象を与え、炎上を招きました。
この事例は、トップが責任を認めず、他人事のような態度を取ることは、更なる不信感を招くことを示しています。被害者への共感と、問題に対する真摯な姿勢が求められます。
大手化学メーカーの事例 (育休取得問題)
ある大手化学メーカーにおいて、男性社員の育児休業取得を巡る問題が発生し、その妻がSNS上で告発したことがきっかけで、大きな炎上へ発展。告発の内容は、育休取得直後に転勤を命じられた、有給休暇を取得させてもらえなかった、最終的に退職を強要されたといったものでした。
この告発に対し、同社の公式サイトでは育児休業に関するページが削除されたとされ、さらに批判が高まりました。その後、社長名で従業員宛にメールが送られ、転勤の内示はあったものの報復人事ではないと説明されましたが、事態は収束はできず、最終的に、会社側は問題なしとの見解を発表したため、更なる炎上を招き、時価総額624億円の損失に繋がったとされています。
この事例は、不都合な情報を隠蔽したり、問題を認めようとしない姿勢は、人々の反感を買い、炎上を拡大させることを示しています。透明性のある情報開示と、従業員への配慮が重要です。
旅行会社の事例 (内々定メール誤送信)
ある旅行会社では、採用担当者のミスにより約4万3000人に内々定の通知メールを誤って送信してしまい、炎上。その後、焦った担当者が謝罪のメールを送りましたが、そのメールの宛名が呼び捨てだったため、さらに二次炎上を引き起こります。この出来事により、旅行会社には情報管理についての不信感や就活生からの怒りの声が殺到し、企業の信頼を失う結果となりました。
この事例は、ミスは誰にでも起こり得ますが、その後の対応が非常に重要であることを示しています。特に謝罪の場面においては、相手への配慮を欠いた対応は、事態を悪化させる可能性があります。
電子決済サービスの事例 (不正アクセス)
2019年、ある電子決済サービスを提供する会社で不正アクセスが発生し、同社の代表者が記者会見を開きました。しかし、この記者会見での対応が不適切であったため、謝罪やユーザーの信頼回復をするべき場でさらに批判が集まり、大炎上。
この事例は、重大な問題が発生した際の記者会見は、企業の姿勢を示す非常に重要な場であることを示しています。適切な準備と、誠意ある説明、そしてユーザーの不安を解消するための具体的な対策を提示することが不可欠です。
キリンビバレッジの事例 (#午後ティー女子)
2018年4月26日、キリンビバレッジがTwitterの公式アカウントに投稿したイラスト「#午後ティー女子」に対し、消費者から「顧客を悪く描いて何が楽しいのか」といった戸惑いや怒りの声が続出し炎上。
投稿から5日後に公式Twitterで謝罪し、投稿を削除しましたが、炎上後も批判が収まらず、再び炎上。この事例は、企画意図が消費者に伝わらず、不快感を与えてしまったことが炎上の原因と考えられます。謝罪のタイミングの遅さや、問題の本質に対する認識不足、消費者の感情への配慮不足が、更なる炎上を招いた要因と言えるでしょう。SNSを活用した企画は大きな注目を集められる反面、予期せぬ炎上を生むリスクもあることを示唆しています。
日本テレビの事例 (情報番組での差別的な発言)
2021年3月、日本テレビの情報番組において、アイヌ民族の女性を取り上げた内容で、お笑い芸人が行った謎かけに差別的な意味が含まれていたものがそのまま放送され、後日、同番組で謝罪をするという事態になりました。
謝罪内容は、番組では差別的な内容が含まれていることに対しての認識不足と確認不足であったことを認めたものでしたが、問題の深刻さに対する認識不足や表面的な謝罪と捉えられ、更なる批判を招きました。メディアにおける発言は、社会的な影響力が大きいため、細心の注意が必要です。差別的な表現は厳に慎むべきであり、問題発生時には、真摯な謝罪と再発防止策を示す必要があります。
成功例と失敗例の比較分析:SNS時代に効果的な謝罪とは?
謝罪のタイミング
謝罪の内容(具体性、誠意、反省の度合いなど)
表現方法
企業トップの関与の有無
再発防止策の提示
企業がSNSで謝罪する際に注意すべきポイント
- 言葉遣い:丁寧で謙虚な言葉遣いを心がけ、「〜だったと思います」のような曖昧な表現は避けるべきです。
- 情報発信の透明性:事実を隠蔽せず、正確な情報を迅速に開示することが重要です。都合の悪い情報も包み隠さず伝える姿勢が求められます。
- 再発防止策の提示:具体的な再発防止策を提示し、実行することを約束することで、消費者の信頼回復に繋がります。
- 被害者への配慮:被害者や関係者への謝罪と配慮を最優先とすることが重要です。
- 二次炎上対策:感情的な反論は避け、冷静に対応することが重要です。問題となったコンテンツを安易に削除せず、事前に見解や謝罪を発表してから行う必要があります。炎上している最中に、何事もなかったかのように他の情報を発信することも避けるべきです。法的問題の有無ばかりを主張することも、世間の感情を逆撫でする可能性があるため注意が必要です。
- 謝罪文の掲載場所:謝罪文は自社サイトの目立つ場所に掲載し、SNSだけでなく、広く告知することが望ましいです。画像で掲載するなど、検索逃れと疑われる行為は避けるべきです。
- 社内体制の整備:炎上発生時の報告・相談体制を整備し、迅速な対応を可能にする体制を構築しておくことが重要です。
SNS時代における企業のクライシスコミュニケーション戦略
炎上発生時の初期対応
情報収集の方法
謝罪文の作成プロセス
その後の広報活動
効果的な謝罪を行うための具体的なステップ
- 1炎上状況の迅速な把握
何が起きたのか、どのような批判が寄せられているのかを正確に把握し、批判の発信源や量も確認し、事態の全体像を把握します。
- 2事実関係の正確な確認
関係者へのヒアリングや証拠収集を行い、事実に基づいた情報を整理。不確かな情報に基づいて謝罪すると、後で訂正が必要になるなど、更なる混乱を招く可能性があります。
- 3謝罪の方針決定と謝罪文の作成
誰が、いつ、どこで、誰に向けて謝罪するのか、具体的な方針を決定。その上で、誠意が伝わる謝罪文を作成します。
- 4再発防止策の明確な提示
今回の炎上の原因を分析し、具体的な再発防止策を策定。同じ過ちを繰り返さないという強い意志を示すことが、消費者の信頼回復に繋がります。
- 5情報発信と対話
公式サイトやSNSなどで謝罪文と再発防止策を公表。コメントや問い合わせには真摯に対応し、対話を試みます。一方的な情報発信ではなく、批判的な意見にも耳を傾け、誠実に対応することが重要です。
- 6継続的な状況モニタリングと改善
炎上後の反応をモニタリングし、必要に応じて対応を改善。再発防止策の実施状況を定期的に確認し、真の信頼回復を目指します。
SNSの特性が企業の謝罪に与える影響
- 拡散性:一度炎上すると、情報が瞬く間に拡散し、収束が困難になります。謝罪も同様に拡散されるため、迅速かつ適切な対応が求められます。
- 匿名性:批判者が匿名である場合が多く、企業は批判の真意を掴みにくいことがあります。感情的な批判も多く、冷静な対応が必要となります。
- 即時性:炎上が発生すると、すぐに反応が求められます。対応が遅れると、更なる批判を招きます。謝罪も迅速に行う必要があります。
- 双方向性:SNSは企業と顧客の双方向コミュニケーションを可能にします。謝罪後も、顧客からの意見や質問に耳を傾け、対話を続けることが重要です。
- 過去の情報の掘り起こし:過去の投稿や発言が掘り起こされ、炎上につながることもあります。過去の言動も常に監視し、問題がないか定期的に見直すことが必要です。
SNS時代における企業謝罪の重要性と成功のためのポイント
炎上対策として企業が今すぐできること
- SNS運用ガイドラインを策定し、従業員に周知徹底する:不適切な投稿を未然に防ぐためのルールを明確化します。
- 炎上発生時の対応フローを事前に作成しておく:誰が、いつ、どのように対応するのかを定めておくことで、いざという時に迅速かつ冷静に対応できます。
- SNSモニタリング体制を構築し、早期に炎上を検知できるようにする:早期発見により、被害を最小限に抑えることができます。
- 定期的にクライシスコミュニケーションに関する研修を実施する:従業員の意識を高め、適切な対応能力を養います。
- 万が一炎上が発生した場合は、本記事で解説したポイントを参考に、迅速かつ適切な対応を行う:状況を冷静に分析し、誠意ある謝罪と再発防止策を示すことが重要です。
炎上した企業の成功事例と失敗事例の一覧表
炎上の鎮火に成功した事例
事例名 | 炎上の原因 | 謝罪方法 | 成功要因 |
---|---|---|---|
ウォルト・ディズニー・ジャパン公式アカウント | 原爆の日に不適切なツイート | 該当ツイートを削除し、公式アカウントで謝罪 | 迅速な対応、具体的な問題点を認識し謝罪したこと |
アディダス・ノースアメリカ | ボストンマラソン爆破テロを想起させるメール | 公式Twitterで即座に謝罪 | 迅速な謝罪、被害者への配慮を示したこと |
楽天トラベル | 公式アカウントによる個人への誹謗中傷 | 柴田淳さんに対し、公式アカウントで謝罪 | 対象者への直接的な謝罪、公式アカウントからの謝罪という誠意ある対応 |
医薬品メーカー (のどあめドーピング) | 著名なスポーツ選手による誤情報の発信 | 即座に訂正情報を公開、選手への寛容な対応 | 冷静かつ迅速な事実訂正、選手への寛容な対応 |
食品会社 (ペヤング昆虫混入) | 製品への異物混入 | 事実の迅速な確認と公表、具体的な再発防止策の提示、透明性の高い情報開示 | 事実の迅速な確認と公表、具体的な再発防止策の提示、透明性の高い情報開示 |
スープストックトーキョー | 離乳食無料提供に対する一部からの批判 | 安易な謝罪はせず、公式サイトで企業理念に基づいた取り組みであることを説明 | 企業理念を明確に示し、毅然とした態度で説明したこと |
紳士服ブランド | ワイシャツのキャンペーン名称がハラスメントを含む | ツイートを削除し、謝罪対応 | 迅速な対応と、問題点を認識し謝罪したこと |
炎上の鎮火に失敗し再炎上した事例
事例名 | 炎上の原因 | 謝罪方法 | 失敗要因 |
---|---|---|---|
自動車ディーラー | 従業員による障害者揶揄動画の拡散 | 「障害者を揶揄するつもりはなかった」と釈明するも不信感を招く、問題の矮小化、再発防止策不明確 | 謝罪の誠実さの欠如、問題の矮小化、具体的な再発防止策の不明確さ |
コラボレーションカフェ運営企業 | 公式Twitterアカウントでの不適切な投稿 | 問題の詳細や問題点に触れず表面的な謝罪、具体的な対策や改善策の記述不足 | 問題の具体性の欠如、表面的な謝罪、改善への意欲が感じられないこと |
中古車販売大手A社 | 保険金の不正請求問題 | 「私は知らなかった」という発言、被害者への配慮欠如、問題の本質を理解していない発言 | 責任逃れの姿勢、被害者への配慮の欠如、問題の本質を理解していない発言 |
大手化学メーカー | 男性社員の育休取得を巡る問題 | 当初は問題なしとの見解、公式サイトから育休関連ページ削除 | 事実の隠蔽疑惑、問題の矮小化、当事者への配慮不足 |
旅行会社 | 内々定通知メールの誤送信とその後の宛名呼び捨ての謝罪メール | 焦って送った謝罪メールの宛名が呼び捨て | 謝罪における配慮の欠如、情報管理体制への不信感 |
電子決済サービス | 不正アクセス | 記者会見での説明不足、ユーザーの不安を解消できない対応 | 問題の深刻さに対する認識不足、ユーザーへの共感の欠如、信頼回復に向けた具体的な行動の不明確さ |
キリンビバレッジ | Twitter企画「#午後ティー女子」のイラストが消費者から批判 | 投稿から5日後に公式Twitterで謝罪し、投稿を削除 | 謝罪のタイミングの遅さ、問題の本質に対する認識不足、消費者の感情への配慮不足 |
日本テレビ | 情報番組でのアイヌ民族に対する差別的な発言 | 番組内での謝罪 | 問題の深刻さに対する認識不足、表面的な謝 |
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