Kubernetesとは?操舵手が束ねるコンテナ管理の仕組みを解説

システム開発・テクノロジー
Kubernetesとは?ざっくりと3行で
  • コンテナ化されたアプリを自動で管理・運用するコンテナオーケストレーションツール。船の操舵手(ギリシャ語由来)のように、多数のコンテナが正しく動くよう舵を取り続ける存在だ
  • アクセスが急増しても自動でスケーリングし、障害が起きたコンテナは自律的に再起動する。開発チームが夜中に手動対応する必要がなくなる
  • 導入前は「どのサーバーで何が動いているか」の管理が属人化しがちだったが、Kubernetesを使うと構成ファイル(YAML)で状態を宣言的に管理でき、担当者が変わっても全体像を即把握できる

【深掘り】これだけ知ってればOK!

KubernetesはGoogleの社内システム「Borg」を源流に持つ。Googleは長年、20億個を超えるコンテナを自社サービスで動かしてきた。その運用知見をオープンソースとして世界に解放した結果が、今日のKubernetesだ。

つまりKubernetesとは、Googleのスケールで培われた本番運用の教科書そのものだ。「なぜあんなに複雑なのか」と感じる人も多いが、複雑さの正体は世界最大規模の障害対応・スケーリング経験が凝縮されているからに他ならない。

では実際の仕組みをシンプルに整理してみよう。Kubernetesはマスターノード(司令塔)とワーカーノード(実働部隊)の2層構造で動いている。開発者がYAMLファイルで「このコンテナを常時3台動かす」と宣言すると、マスターが状態を監視し続け、1台落ちれば即座に別のノードで補充する。この自己修復(セルフヒーリング)が最大の強みだ。

Kubernetesは「K8s(ケーエイツ)」と表記されることが多い。Kとsのあいだにuberneテ8文字があることから省略された表記で、実務でのSlackやドキュメントではこちらが主流。読み方は「ケーエイツ」または「クーベネティス」。

導入初期でよく起こる失敗が、YAMLの記述ミスによる意図しない設定の適用だ。たとえばreplicas(稼働台数)を0にしたまま本番デプロイしてサービスが全停止したケースは珍しくない。Kubernetesは宣言した内容を忠実に実行するため、記述内容の正確さが運用品質に直結する。テスト環境での十分な検証が欠かせない。

よくある誤解

KubernetesはDockerの上位互換ではない

DockerとKubernetesを比較して「KubernetesのほうがDockerより高度」と思いがちだが、両者は役割が異なる。DockerはコンテナをビルドしてP上で動かすツールで、Kubernetesはそのコンテナを複数台のサーバーにまたがって管理・調整する仕組みだ。車と交通管制システムを比較するようなもので、そもそも土俵が違う。実際、2020年以降はDockerを使わずにKubernetesを動かす構成も一般的になっている。

小規模サービスに必ずしも必要なわけではない

会議で「うちもKubernetesを入れよう」という提案が出ることがある。しかし、常時稼働コンテナが数本程度のサービスや個人開発プロジェクトに導入しても、学習コストと運用コストがメリットを上回ることが多い。Kubernetesが真価を発揮するのは、複数のマイクロサービスを並列で動かし、スケールや可用性が事業継続に直結するフェーズからだ。規模感を見極めてから検討するのが賢明だろう。

サーバーレスとは競合しない

KubernetesとAWS LambdaのようなFaaS(サーバーレス)を対立概念として捉えている人がいる。実態は共存関係にある。大量トラフィックを捌く常時稼働のコアサービスにはKubernetes、イベント発火型の軽量処理にはFaaSと使い分けるアーキテクチャが現場では一般的だ。どちらかが正解ということはない。

会話での使われ方

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今回の新サービス、マイクロサービス構成で行くなら最初からK8s前提で設計しておかないと後で詰むよ。スケーリングの要件だけでも先に確認しておいて。

新規プロジェクトのキックオフ前、テックリードが設計担当エンジニアに向けてインフラ方針を確認している場面。

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Kubernetesって結局何がうれしいんですか?コンテナをそのまま動かせばよくないですか?

入社2ヶ月目のエンジニアが、勉強会の質疑応答でベテランメンバーにぶつけた素朴な疑問。こういうタイミングでの質問が一番学びになる。

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本番でPodが落ちてるってアラート来てますが、K8sが自動再起動してるので影響範囲はゼロです。念のため報告まで。

深夜のインシデント対応で、担当インフラエンジニアがSlackで状況報告している場面。自己修復が働いているため、全員起床不要と判断できる。

Kubernetesの歴史

Kubernetesの歩みを知ると、なぜこれほど多機能で堅牢なのかが腑に落ちる。Googleの15年分のコンテナ運用経験が出発点にあるからだ。

出来事
2003年頃GoogleがBorg(社内コンテナ管理システム)の開発を開始。社内全サービスを数十億コンテナ規模で運用する基盤となる。
2014年6月GoogleがKubernetesをOSSとしてGitHubに公開。DockerCon 2014でGoogleエンジニアEric Brewerが正式発表。
2015年7月バージョン1.0をリリース。同時にLinux Foundation傘下のCNCF(Cloud Native Computing Foundation)へ寄贈し、中立的な運営体制へ移行。
2017年Docker SwarmやApache Mesosとの競合に勝利し、コンテナオーケストレーションのデファクトスタンダードとして確立。
2018年GitHubにおけるコミット数でLinuxカーネルに次ぐ第2位に到達。88,000人超のコントリビューターを有する巨大OSSに成長。
2020年以降AWS EKS・GKE・Azure AKSなどマネージドKubernetesサービスが普及し、エンタープライズ全域へ浸透。Gartnerは2027年までに世界の90%以上の組織が本番環境でコンテナを活用すると予測。

【まとめ】3つのポイント

  • 「船の操舵手」は比喩ではなく本質:Kubernetesはギリシャ語で操舵手を意味し、多数のコンテナが正しく動くよう自律的に舵を取り続ける仕組みそのものだ
  • 自己修復と自動スケーリングで夜間対応が激減:障害発生時の自動再起動・トラフィック増大時の自動拡張により、エンジニアの緊急対応コストを大幅に削減できる
  • 小規模導入は逆効果になりうる:Kubernetesの複雑さはGoogle規模の運用知見の集積であり、コンテナ数が少ない段階では学習コストが利益を上回るケースがある。規模と用途を見極めてから判断しよう

よくある質問

Q
KubernetesはAWSやGCPのどちらで使えますか?
A

主要クラウドすべてで利用できます。AWSではEKS(Elastic Kubernetes Service)、Google CloudではGKE(Google Kubernetes Engine)、AzureではAKSが提供されており、マネージドサービスとして利用すれば、クラスター構築の複雑さを大幅に軽減できます。

Q
KubernetesのYAMLファイルとは何ですか?
A

インフラの設計書に相当するテキストファイルです。「このアプリを3台常時起動し、ポート8080で公開する」といった理想状態を記述すると、Kubernetesが自動的にその状態を実現・維持します。設定をコードとして管理できるため、Gitでバージョン管理できる点も現場では重宝されています。

Q
Kubernetesの学習に必要な前提知識は何ですか?
A

最低限、コンテナ(Docker)の基礎知識とLinuxのコマンド操作が必要です。加えて、ネットワークの基礎(IPアドレス、ポート、DNSなど)を理解していると理解速度が格段に上がります。公式のインタラクティブチュートリアル「Katacoda」やDocker Desktopに内蔵されているKubernetes環境で手を動かすのが最短ルートです。

Q
KubernetesとDocker Swarmの違いは何ですか?
A

両者は同じコンテナオーケストレーション領域の技術ですが、規模感と機能の深さが大きく異なります。Docker Swarmはセットアップが簡単で小〜中規模に向いている一方、Kubernetesは学習コストが高い代わりに自動スケーリング・自己修復・ロールアウト管理など本番運用に必要な機能が豊富です。2017年以降の業界標準はKubernetesに収束しており、現在Docker Swarmの新規採用はほとんど見られません。

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【出典】参考URL

https://kubernetes.io/ja/blog/2024/06/06/10-years-of-kubernetes/ :Kubernetesの誕生から10年の歴史(公式ブログ)
https://cloud.google.com/kubernetes?hl=ja :KubernetesのアーキテクチャとGoogle Cloudとの関係
https://www.ibm.com/jp-ja/think/topics/kubernetes-history :KubernetesとCNCFの歴史的変遷
https://harmonic-society.co.jp/what-is-kubernetes-beginners-guide/ :初心者向けK8s解説記事

コメント

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