- LGTMに猫画像を貼る文化とは、承認語LGTMがGitHubで広まる過程で、ネットの猫画像ミームと結びついて生まれた慣習のことだ。
- 起源はGoogle Mondrian由来とされるが諸説あり、単語の意味解説では文字から画像への変異までは拾いきれない。
- この記事では、LGTMの意味・広まり方・猫画像化の流れと、それがレビュー文化にもたらす効用までを整理して読み解く。
プルリクエストの承認欄に、ただ一言LGTMと打てば仕事は終わります。それなのに、わざわざ猫の画像を貼り付けて承認するエンジニアが少なくありません。
用語辞典を引けば、LGTMが承認の合図だという意味はすぐ分かります。ただ、そこにはなぜ猫なのかという文化の部分が抜け落ちています。この記事では、意味の解説では拾えない伝播と変異のプロセスを追いかけます。
私が気になるのは、この慣習が誰のどんな課題を解決していたのか、という点です。承認という無味乾燥な作業に、猫が差し込まれた理由を一緒にたどってみましょう。
このシーンは、コードレビューの現場でよく起きるすれ違いを切り取ったものです。承認そのものはLGTMという四文字で足りるのに、そこへ猫画像が差し込まれる。若手が抱く「なぜ猫か」という素朴な疑問には、単語の意味だけでは説明できない文化の層が隠れています。
コードレビューは、指摘が主目的である以上どうしても緊張をはらみます。文字だけのやり取りは冷たく受け取られやすく、承認の一言さえ素っ気なく感じられる場面があります。ここに猫画像が入ると、承認の場の空気そのものが少しやわらぐという現象が起こります。
4コマのオチは、猫を承認の潤滑油と位置づけています。これは私の見立てですが、機能ではなく空気づくりの側面こそ、この文化が長く続いてきた理由ではないかと考えています。以下で由来から順に読み解いていきます。
そもそもLGTMとはどんな意味の承認コメントなのか?
LGTMとは、Looks Good To Meの略で、コードレビューにおいてこの変更で問題ない、という承認の合図として使われる短い定型コメントです。日本語にすると私が見た限り良さそうに近い表現になります。
ソフトウェア開発では、ある人が書いたコードを別の人が確認してから本番に取り込む、コードレビューという工程があります。レビュアーが内容を確認し、取り込んでよいと判断したときに残す一言がLGTMです。プルリクエストのコメント欄で目にする機会が多く、承認のスタンプのような役割を担っています。
ここで押さえておきたいのは、LGTMがもともと効率化のための言い回しだったという点です。承認のたびに長い文章を書くのは手間がかかります。四文字で意思表示が済むこの略語は、レビューのやり取りをなめらかにする実務的な発明でした。
私は、LGTMを「承認のショートカット」だと捉えています。丁寧に書けば数行かかる合意を、四文字で交わせるようにした。まずはこの効率化が出発点だったと見ています。
LGTMはどこで生まれGitHubにどう広まったのか?
LGTMの起源は諸説ありますが、Googleの社内コードレビューツールMondrianでの使用がルーツとされる説がよく知られています。確定した一次資料は乏しく、断定はできません。
広く引用されるのは、2006年11月30日にNiall Kennedy氏が公開したMondrianの解説記事です。同記事は、レビュアーが承認を伝える際にlooks good to me、略してlgtmと打つ様子を紹介した投稿として知られています。Mondrianは、Guido van Rossum氏らGoogleのエンジニアが関わったとされる社内向けのツールで、コードレビューをWeb上で行えるようにした環境として紹介されています。
その後、2008年4月に公開されたGitHubの普及とともに、LGTMは社外のオープンソースコミュニティへ広がっていきました。プルリクエストのコメント欄という共通の舞台ができたことで、承認の定型句としてのLGTMは一気に世界中の開発者へ伝わっていきます。
この流れを整理すると、LGTMは社内ツールの一言から、コミュニティ共通の作法へと立場を変えたことになります。単語の意味は変わっていないのに、使われる場所が広がるにつれて、そこに乗る文化も少しずつ膨らんでいきました。次の章で扱う猫画像は、その膨らみの中で生まれた独自進化だと言えます。
なぜLGTMの承認に猫画像を貼る文化が生まれたのか?
LGTMに猫画像を貼る文化は、承認の合図をテキストから画像へ拡張する遊び心と、ネット上の猫画像ミームが結びついて広まったものです。なぜ猫なのかは確定した記録が乏しく、見立てとして扱う必要があります。
きっかけの一つは、LGTMの文字を大きくあしらった画像を共有するサービスの登場です。代表例が、猫のLGTM画像を集めて共有できるLGTMeowで、GitHubにそのまま貼れるMarkdown形式でコピーできる仕組みを備えています。のように書けば、コメント欄に画像が表示されます。同サービスは2025年時点でも画像投稿が続いており、現在も稼働しています。
猫が選ばれた理由については、断定できる資料が見当たりません。あくまで外から見ていた私の見立てですが、2000年代からインターネットに根付いていた猫画像ミームの土壌と、テキスト中心で少し無機質になりがちなコードレビューの文化が交差した結果ではないかと考えています。
文字のLGTMと猫画像のLGTMは何が違うのか?
両者は承認を伝える点では同じですが、果たす役割の重心が異なります。下の表で観点ごとに整理します。
| 比較観点 | 文字のLGTM | 猫画像のLGTM |
|---|---|---|
| 主な目的 | 承認を素早く伝える効率化 | 承認に場の空気づくりを重ねる |
| 伝わる情報 | 取り込んで良いという判断 | 判断に加えて、やわらかい感情の温度 |
| 向いている場面 | スピード重視の定型的な承認 | 緊張しがちなレビューをほぐしたい場面 |
| 手間 | 四文字で完結 | 画像を選んで貼る一手間がかかる |
この対比から見えるのは、猫画像が効率とは逆方向の一手間だという事実です。速さだけを求めるなら文字で十分なのに、あえて手間を足す。その非効率の中にこそ、この文化の本質があるように思います。



効率化から生まれた略語に、あえて非効率な一手間を足して戻す。この行ったり来たりが、私にはとても人間らしく映ります。
猫画像のLGTMはレビュー文化に何をもたらすのか?
猫画像のLGTMがもたらすのは、承認という工程に心地よさと継続のしやすさを足す効果だと私は見ています。ここからは事実ではなく、私の解釈と仮説として読んでください。
私の持論として、技術も文化も、機能で選ばれて習慣で生き残ります。文字のLGTMは機能として優秀でしたが、それだけでは承認は義務的な作業のままです。そこへ猫が入ると、承認が少しだけ楽しみになる。続けたくなる仕掛けが加わることで、レビューという習慣そのものが回りやすくなるのではないでしょうか。
なぜこの慣習が定着したのかという問いに、私は時代とニーズのズレという角度から見立てを置いています。リモート化が進み、テキストだけのやり取りが増えるほど、感情の温度は伝わりにくくなります。あくまで外から見ていた私の推測ですが、その温度不足を補う潤滑油として、猫画像がちょうどよく機能したのだと考えています。
この先を考えると、AIがコードレビューの一次確認を担う場面は今後さらに増えていくはずです。機械的な指摘が自動化されるほど、人間が残す承認には、判断だけでなく気持ちを伝える役割が色濃くなるのかもしれません。歴史を知っている側が、こうした小さな文化の意味を汲み取れるのだと思います。いま自分のチームの承認は、無味乾燥な作業になっていないでしょうか。次にプルリクエストを承認するとき、その一言の温度を少しだけ意識してみてください。
- LGTMは承認を四文字で交わす効率化から始まり、GitHubを舞台にコミュニティ共通の作法へ広がった。
- 猫画像化は効率とは逆の一手間であり、承認に場の空気づくりを重ねる独自進化だった。
- AIが確認を担う時代ほど、人間の承認に残る気持ちを伝える役割が重みを増していく。
よくある質問
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QLGTMは失礼な言い方になりませんか?
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A
LGTM自体は承認を表す一般的な定型句で、それだけで失礼にはあたりません。ただし込み入った変更で一言だけ返すと素っ気なく映る場合があるため、必要に応じて確認した観点を添えると丁寧です。
-
Q猫以外の画像を貼ってもよいのですか?
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A
犬や他の画像を使う例もあり、猫でなければならない決まりはありません。猫が目立つのはネット上の猫画像文化との相性の良さが背景にあると見られますが、チームの雰囲気に合う題材を選ぶのが基本です。
-
QLGTMeowのようなサービスは今も使えますか?
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A
猫のLGTM画像を共有するLGTMeowは、2025年時点でも画像投稿が続いており稼働が確認できます。画像を選ぶとGitHub向けのMarkdownがコピーできる仕組みで、コメント欄への貼り付けが手軽に行えます。
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Q文字のLGTMと猫画像のLGTMは何が違いますか?
-
A
承認を伝える点は同じですが、文字は速さ重視の効率化、猫画像は場の空気づくりに重心があります。前者は四文字で完結し、後者は画像を貼る一手間で承認にやわらかい温度を足す役割を担います。
この記事と一緒に知っておきたい用語
| 用語 | この記事との関連 |
|---|---|
| プルリクエスト | LGTMが承認として書き込まれる、コードレビューの主な舞台となる仕組み。 |
| ウォークスルー | 関係者で欠陥を見つけるレビュー手法で、承認文化の背景にある確認の考え方。 |
| スニペット | LGTM画像をGitHubへ貼る際にコピーするMarkdownの短い断片と関わる用語。 |
| インターネット老人会 | 猫画像ミームが根付いたネット文化の土壌を象徴する、世代的な背景。 |
【出典】参考URL
http://www.niallkennedy.com/blog/archives/2006/11/google-mondrian.html :LGTMの初出とされる、Niall Kennedy氏が2006年11月30日に公開したMondrian解説記事の原典URL(現在は当該URLからの直接閲覧が難しく、下記LWN.netの2006年記事が参照元として同URLを記録)
https://lwn.net/Articles/213934/ :Niall Kennedy氏の原記事URLの裏付け、およびMondrianがWebベースのコードレビュー・ストレージであることの根拠
https://knowyourmeme.com/memes/lgtm :LGTMの初出(Niall Kennedy氏 2006年11月30日)とGitHub普及(2008年4月)という時系列の根拠
https://engtech.wordpress.com/2006/12/01/how-google-does-web-based-code-reviews-with-mondrian/ :Mondrianのコードレビューの仕組みに関する2006年の技術的解説(Mondrianの背景説明の補足)
https://lgtmeow.com/en :猫のLGTM画像共有サービスLGTMeowの機能・現在も稼働している状況の確認(猫画像文化の実例根拠)

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