- 会社の財務状況をわかりやすくするための会計処理のこと
- 会社に必要な高額なものを購入して、その年に一括で計上してはダメ
- 購入したものの使用できる年数に分割して費用を計上すること
ここまでで7秒!もっとくわしく知りたい人は続きをどうぞ!
減価償却をわかりやすく
減価償却をわかりやすく説明すると
会社が必要な高額な設備を購入したとき、その年に全部を費用計上するのはNG!なぜなら、その年だけ利益が減りすぎて、会社の本当の状態が分からなくなるから。そこで登場するのが「減価償却」!これは、設備を「使用できる年数」に分割して費用にする会計処理のこと。例えば、100万円の機械を5年で使い潰す場合、毎年20万円ずつの費用にする。こうすれば、機械を使ってる期間に分けて、損益が計算されるから、会社の財務状況も把握しやすくなる。
減価償却をしないで、機械の購入費用100万円を一括で計上した場合
1年目:50万円 – 100万円 = -50万円
2年目:50万円 – 0万円 = 50万円
3年目:50万円 – 0万円 = 50万円
4年目:50万円 – 0万円 = 50万円
5年目:50万円 – 0万円 = 50万円
1年目は大きな赤字、2年目以降は黒字。でも、これだと適切な期間損益を表せていない。
そこで、減価償却を行う。機械の耐用年数を5年とすると、取得費用100万円を5年で割り、毎年20万円ずつ費用計上すると
1年目:50万円 – 20万円 = 30万円
2年目:50万円 – 20万円 = 30万円
3年目:50万円 – 20万円 = 30万円
4年目:50万円 – 20万円 = 30万円
5年目:50万円 – 20万円 = 30万円
と、減価償却によって、費用を均等化すれば、毎年の損益がスムーズになり、適正な期間損益を算出できるようになる。
減価償却のできるもの・できないもの
減価償却できるもの | |
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有形固定資産 |
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無形固定資産 |
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減価償却できないもの | |
土地 | 土地は価値が減少しないと考えられているため、減価償却の対象とはならない |
金銭 | 現金、預金、有価証券など、お金そのものは減価償却の対象とはならない |
流動資産 | 1年以内に売却や消費される予定の資産(在庫、売掛金、前払金など)は、減価償却の対象とはならない |
判断が難しいもの | |
マイナスの価値を持つ資産 | 取得価額よりも低い価値で取得した資産は、減価償却の対象となるかどうか判断が難しい場合がある |
短期間で使用される資産 | 1年未満で使用される資産は、減価償却の対象となるかどうか判断が難しい場合がある |
改良費 | 既存の資産を改良するために支出した費用は、減価償却の対象となるかどうか判断が難しい場合がある |
減価償却の手順
- STEP1減価償却の対象資産を特定
有形固定資産(建物、機械装置、車両運搬具など)と一定の無形固定資産(ソフトウェア、鉱業権など)が対象
- STEP2資産の取得価額を確定
資産の購入代金に加え、運賃、据付費用などの付随費用も取得価額に含める
- STEP3資産の耐用年数を見積もる
法定耐用年数と経済的耐用年数のいずれか短い年数を採用する
- STEP4減価償却の計算方法を選択
主な方法は定額法と定率法がありますが、資産の種類や会計方針によって異なる
- STEP5残存価額を見積もる(場合による)
一部の減価償却方法では、減価償却終了時の資産の残存価額を見積る必要がある
- STEP6年間の減価償却費を計算
定額法の場合は、(取得価額-残存価額)÷耐用年数=年間減価償却費
- STEP7減価償却費を会計処理する
減価償却費を売上原価や販売費及び一般管理費に計上する
- STEP8減価償却明細書などの資料を作成
税務署の査察などに備え、減価償却の計算過程を残す
減価償却の計算方法
減価償却方法 | 計算式 | 計算例 |
---|---|---|
定額法 | (取得価額 – 残存価額) ÷ 耐用年数 = 年間減価償却費 |
取得価額: 100万円 残存価額: 10万円 耐用年数: 5年 年間減価償却費 = (100万円 – 10万円) ÷ 5年 = 18万円 |
定率法 |
残存価額控除前の帳簿価額 × 定率 = 当期減価償却費 (定率は、取得価額に対する一定の割合) |
取得価額: 100万円 残存価額: 10万円 耐用年数: 5年 定率: 30% 1年目減価償却費 = 100万円 × 30% = 30万円 2年目減価償却費 = (100万円 – 30万円) × 30% = 21万円 |
生産高比例法 | (取得価額 – 残存価額) × 当期生産高 ÷ 資産の総生産能力 = 当期減価償却費 |
取得価額: 200万円 残存価額: 20万円 総生産能力: 50,000トン 当期生産高: 8,000トン 当期減価償却費 = (200万円 – 20万円) × (8,000トン ÷ 50,000トン) = 28万円 |
会計以外での減価償却
減価償却は、会計用語以外にも他の意味でも使われることがある。
-
価値の減少
- 例: 機械が長年使用されることで、価値が減価していく。
- 例: 土地の価値が、景気低迷によって減価していく。
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借金の返済
- 例: 住宅ローンを返済していくことで、借金の減価償却が進んでいる。
-
償却金
- 例: 生命保険の解約返戻金は、契約期間に応じて減価償却金が控除される。
上記のように、大きい金額のものが時間経過とともに減っていくという意味で使われる。
減価償却まとめ
- 会社に必要な高額なものを購入して、その年に一括で計上してはダメ、使用できる年数に分割して費用を計上することで、会社の財務状況をわかりやすくするための会計処理のこと
- 減価償却できるのは、1万円以上のもので、1年以上使用できるもので、工場、店舗、オフィスビル、パソコン、プリンター、自動車、カメラ、什器備品、特許、商標、著作権、ソフトウェア、映画、演劇作品など
- 会計用語以外にも大きい金額のものが時間経過とともに減っていくという意味で使われる場合もある
減価償却について理解は深まりましたか?
まだわからない点や疑問点があれば、ぜひコメント欄で質問してください。生の声を聞かせていただければ、より良い内容を提供できるはずです。
以上、減価償却についてでした。コメント欄での活発な意見交換を心よりお待ちしています!
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