ナレッジとは?組織の知識を活かすナレッジマネジメントの基本

企画・プロジェクト管理
ナレッジとは?ざっくりと3行で
  • ビジネスやITの文脈で「ナレッジ(knowledge)」とは個人や組織が保有する知識・ノウハウ・経験・スキルの総称のこと
  • 単なる情報(data/information)より一段上の概念で、「活用できる状態にある知識」を指し、組織の競争力を左右する重要な無形資産と捉えられる
  • ITシステムでは問い合わせ対応の解決策・手順書・FAQなどをまとめた「ナレッジベース」として蓄積・共有される仕組みが構築され、担当者の属人化を防ぐ組織的な取り組みとして活用される

【深掘り】これだけ知ってればOK!

ナレッジには2種類ある。形式知(Explicit Knowledge):文書・マニュアル・データなど明示的に表現できる知識で、誰でも参照・共有できる。暗黙知(Tacit Knowledge):熟練者の勘・コツ・経験から生まれる言語化しにくい知識で、訓練や師弟関係を通じて伝達される。経営学者野中郁次郎の「SECIモデル」はこの暗黙知と形式知の変換サイクルを表したフレームワークとして著名だ。

ナレッジマネジメントとは、組織が持つナレッジを体系的に収集・蓄積・共有・活用するための経営手法だ。カスタマーサポートの現場では、過去の問い合わせ解決事例をナレッジベース(FAQシステム)に蓄積して新しい担当者が素早く回答できるようにする。IT運用では過去のインシデント対応手順をRunbookとして記録して、属人化した対応を組織知にする。

ナレッジベース(Knowledge Base)は組織のナレッジを一元管理するシステム・データベースのことだ。カスタマーサポートツール(Zendesk・Freshdesk)には社内向けのナレッジベース機能が標準搭載されており、担当者が問い合わせを受けた際に関連する解決策を検索できる。またNotionやConfluenceを社内ナレッジベースとして活用する企業も多い。

組織のナレッジが特定の人に集中する「属人化」は多くの企業が抱える問題だ。担当者が退職すると重要な知識が失われる「属人化リスク」は、ナレッジの形式知化と文書化によって軽減できる。ただし全てを文書化することは現実的ではなく、重要度に応じて優先順位を付けて取り組むことが現実的なアプローチだ。

ナレッジが価値を発揮するのは蓄積されたときではなく「活用される」状態になったときだ。検索性が低い・最新情報に更新されない・アクセスが面倒というナレッジベースは使われずに形骸化する。継続的な更新・整理・検索性の向上と、「使う文化」を組織に根付かせることが不可欠だ。

よくある誤解

ナレッジ=マニュアルだと思っている

マニュアルはナレッジの形式知化の一形態に過ぎない。ナレッジにはマニュアルでは表現しにくい暗黙知(熟練者の勘・判断基準・コンテキスト理解)も含まれる。マニュアル化はナレッジマネジメントの重要な手段だが、それだけでは熟練者の暗黙知を組織全体に共有することは難しい。

ナレッジを蓄積するだけで組織は改善されると思っている

ナレッジは蓄積するだけでなく「活用される」状態にすることが重要だ。検索性が低い・最新情報に更新されない・アクセスが面倒というナレッジベースは使われずに形骸化する。ナレッジを価値あるものにするには継続的な更新・整理・検索性の向上と「使う文化」を根付かせることが不可欠だ。

会話での使われ方

ITKAGYO運営者デプロイ太郎のアイコン画像

このエラーの解決方法、ナレッジベースに登録しておきました。次に同じ問題が出たときはここを見れば5分で解決できます。

カスタマーサポートの担当者がトラブルシューティングの事例をナレッジベースに登録した場面。属人化を防ぐための知識の文書化だ。

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ベテランエンジニアが退職するので、その方の持っているナレッジを引き継ぎドキュメントとして文書化してください。暗黙知の形式知化が優先課題です。

マネージャーが退職者のナレッジ引き継ぎをチームに指示している場面。貴重な暗黙知を組織の形式知として残すことを優先している。

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プロジェクトのRetroでナレッジが個人に偏っていることが課題として上がりました。Confluenceのページを充実させてチームのナレッジを共有する仕組みを作りましょう。

アジャイルチームの振り返りミーティングで属人化問題の解決策としてドキュメント文化の醸成を提案している場面。

【まとめ】3つのポイント

  • 個人・組織の知識・ノウハウ・経験の総称で競争力の源泉:単なる情報より一段上の「活用できる状態にある知識」であり、適切に管理されたナレッジは業務効率・意思決定の質・顧客対応力を高める組織の重要な無形資産だ
  • 暗黙知を形式知に変換して組織全体で共有することが核心:熟練者の勘・コツ・判断基準という言語化しにくい暗黙知をドキュメント・FAQなど形式知として明示化することで、属人化リスクを低減して組織的な知識活用が可能になる
  • ナレッジベースは蓄積だけでなく活用される仕組みが重要:検索性・鮮度・アクセスのしやすさを高め「使う文化」を根付かせなければナレッジベースは形骸化する。継続的な更新と整理が組織のナレッジ活用の質を長期的に維持する

よくある質問

Q
ナレッジマネジメントとは何ですか?
A

組織が持つ知識・ノウハウ・経験(ナレッジ)を体系的に収集・蓄積・共有・活用するための経営手法です。個人に集中した暗黙知を組織全体で活用できる形式知に変換することで、属人化リスクの低減・業務効率化・意思決定の質向上を目指します。

Q
暗黙知と形式知の違いを教えてください。
A

形式知は文書・マニュアル・数値など言語化・明示化できる知識で、誰でも参照・共有できます。暗黙知は熟練者が経験や勘から持つ言語化しにくい知識で、直接の訓練や対話を通じて伝わります。職人の技・医師の臨床判断・営業の勘などが暗黙知の例です。

Q
ナレッジベースとWikiの違いは何ですか?
A

Wikiは誰でも編集できる共同編集型のドキュメント管理ツールです。ナレッジベースはより目的特化した形でFAQ・手順書・トラブルシューティングガイドを収集・検索できる仕組みを指します。社内WikiをナレッジベースとしてEも活用するケースも多く、両者の境界は曖昧です。

Q
ナレッジとインフォメーションはどう違いますか?
A

インフォメーション(information)はデータを文脈に合わせて整理した情報です。ナレッジ(knowledge)はインフォメーションを経験・判断・理解と組み合わせて「行動に活かせる状態にした知識」です。天気予報の数値がインフォメーションで、その数値を見て傘を持って行くべきと判断できることがナレッジです。

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【出典】参考URL

https://www.nttcoms.com/service/glossary/knowledge-management/ :ナレッジマネジメントの基礎知識(NTTコム)
https://www.hitachi-solutions.co.jp/knowledge-management/ :ナレッジマネジメントの概要と活用事例(日立ソリューションズ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9A%97%E9%BB%99%E7%9F%A5 :Wikipedia「暗黙知」

コメント

「IT用語、難しすぎて心が折れそう……」という方のための、ハードル低めな用語辞典です。

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